34.ぎゅ ページ34
京本side
真っ白な天井に浮かぶ小さなシミを見つめ続け、早20分ほどが経っているらしい。
今朝家を出たときから、時間は進んでいるはずなのに、俺の中じゃ止まったまま。
…どうしよう。
北斗のご両親はあんなに快く受け入れてくれたのに。
北斗になんて言えばいいかわからない、どんな顔して会えばいいのかわからない、
｢はぁ…｣
大きなため息とともに、少しザラついた保健室の毛布に包まる。
…帰って、母ちゃんに謝らなくちゃ。
それから…父ちゃんにも、ごめんなさいって言わないと、
あとは…北斗に……
無意識のうちに瞼が落ちてきて、視界をシャットダウンした。
皆に、謝らないとだなぁ、
シャッ
『……大我？』
カーテンの開く音、聞き慣れた低音、爽やかな香水の香り。
…気づかなかった、人が入ってきたなんて。
ましてや、一番会いたかった人が来てくれたなんて。
ぱちぱち、数度瞬きをすると、ぼやけていた輪郭がはっきりと映る。
｢ほくと、｣
なぜか息を切らしている彼は、自分が汗だくなのを気にもとめず、駆け寄ってきた。
しゃがんですぐに俺の額に手を当て、『…具合、悪い？』と掠れた声を出す。
｢んーん、…サボっちゃった｣
北『そう、じゃあ俺と同じか』
目を細めて微笑む姿に堪らなくなって、体を起こして、力いっぱい北斗に抱きついた。
少しだけよろけたけれど逞しい腕で受け止めてくれる。
北『疲れちゃった？学校、』
｢違う…｣
北『そっか』
それ以上、本当に何も聞いてこなくて。
ただずっと、ずっと背中をさすっては、なんでもないような話をした。
そういうところが本当にだいすきで。
｢あのね｣
北『…うん』
｢だめだって、｣
｢男は、だめなんだって｣
北『……ん』
抱きしめる力が少しだけ強くなって、涙腺が刺激される。
俺が泣いたらいけないのに。
｢あとつぎ、俺だけだから、認められないって…っ｣
言い終わると同時に、北斗はぎゅっと、腕に力を込めた。
いたいよ、もう。
北『俺はそれでも諦められない』
｢…ばか、なんでそんな話になってるの｣
今さら離れられるわけないでしょう。
｢言ってほしい言葉があるの…わかる？｣
いつも振り回して、ごめんね。
でもね、力を貸してほしいんだ。
北『……大我の家に、行ってもいい？』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1622人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - 龍晴さん» ありがとうございます！すごく嬉しいです（ ; ; ）続編でもよろしくお願い致します！ (2020年9月15日 22時) (
レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 蕾華さん» たくさんありがとうございます！Twitter検討中です〜！良すぎるだなんて恐縮ですが嬉しいです(；A；)失恋といえばって感じになっちゃってます笑 (2020年9月15日 22時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
龍晴(プロフ) - ひとまず、お疲れさまでした！更新の通知が来るたびに、にやにやが抑えられないほどでした( *´艸｀)１人のキャラクターがかわいくて、かっこよくて、最高でした！ (2020年9月11日 22時) (レス) id: 34d069185e (このIDを非表示/違反報告)
蕾華(プロフ) - ひとまず区切りおめでとうございます〜！ 本当に更新が楽しみで、続編に続くと聞いて嬉しかったです。椿さんのTwitter私は見てみたいです〜o(｀ω´ )o 一人で三回もコメントしてしまいすいません。本当に！作品がよすぎて！ jrくんのひつ連ははかなくて綺麗ですよね〜 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ふあとさん» ありがとうございます！現在Twitterは開設しておりません。今後も予定はありませんが一度検討してみるのもいいかなと思いました(^ ^)良い機会を下さりありがとうございます！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：椿
| 作成日時：2020年3月25日 1時
