33.金色の影 ページ33
松村side
俺たちの噂も少しはおさまってきたようだが、まだ騒がしさは残る校内。
廊下から見える中庭に、見慣れた金髪があった。
｢……大我？｣
もう授業がはじまってしまうというのに、なぜ中庭のベンチに座っているんだろう。
いつも一緒にいる樹だっていないし、ぼーっとしていて、どこか上の空のようだ。
｢なにやってんだよ、｣
学校では無闇に近づけないんだ、大我に何があってもすぐに駆けつけることはできない。
歯痒くて、モヤモヤして、イライラして。
耳に入った授業開始のチャイムに急かされ、最後の音が鳴り響くその瞬間まで、大我をずっと見つめていた。
それでも無理やり体を動かして、窓越しに外にいる大我に背を向けた。
俺って本当に馬鹿だ、阿呆だ。
大我が辛いときにそばにいてやれなくて、それでも俺は彼氏なのか。
結局授業が頭に入ってくるわけもなく、ただ時間だけが過ぎていった。
ジ『…と！ほ…く！…ほくと！』
｢っ、なんだようるせえな、授業中だぞ｣
席替えで隣になったジェシーが、俺の隣からずっと声をかけていたらしい。
数回目の割と大きめな声で気づいたが、黒板に向かっている先生には聞こえていないようだ。
ジ『ね、いいの？』
｢いいって、何が？｣
ジ『大我だよ』
は？
｢えっ…、｣
ジ『気になるなら行けばいいのに』
｢…お前まさか｣
いやいやそんなわけないじゃないですか〜みたいな顔とジェスチャーでおどける彼に背筋が凍る。
樹に続きジェシーにもバレていただなんて…有り得ない。
ジ『行っておいでよ、今なら授業中だし誰にも見られないんだから』
｢……適当に説明しといて｣
ジェシーの肩をぽん、と叩いて立ち上がると、俺はザワつく教室を飛び出した。
ジェシーの『せんせー！ほくと便所！』という適当でいいとは言ったものの適当すぎる言葉が聞こえてきた。
｢…はぁ、後で怒られるよなあ、これ｣
廊下を走って階段を降りて、目指す先は中庭だった。
けれど、中庭に着いても、走っても走っても、可愛いあの子に会うことができない。
大我、どこ、教室に戻ったの？
額に汗がじんわりと滲んできて、さすがに一度立ち止まる。
息を整えながらふと右を向けば、【外出中】と書かれた札が下げてある保健室の扉が目に入った。
…なぜか、吸い込まれるように中に入って行った。
愛しい人の香りがしたんだ。
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椿(プロフ) - 龍晴さん» ありがとうございます！すごく嬉しいです（ ; ; ）続編でもよろしくお願い致します！ (2020年9月15日 22時) (
レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 蕾華さん» たくさんありがとうございます！Twitter検討中です〜！良すぎるだなんて恐縮ですが嬉しいです(；A；)失恋といえばって感じになっちゃってます笑 (2020年9月15日 22時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
龍晴(プロフ) - ひとまず、お疲れさまでした！更新の通知が来るたびに、にやにやが抑えられないほどでした( *´艸｀)１人のキャラクターがかわいくて、かっこよくて、最高でした！ (2020年9月11日 22時) (レス) id: 34d069185e (このIDを非表示/違反報告)
蕾華(プロフ) - ひとまず区切りおめでとうございます〜！ 本当に更新が楽しみで、続編に続くと聞いて嬉しかったです。椿さんのTwitter私は見てみたいです〜o(｀ω´ )o 一人で三回もコメントしてしまいすいません。本当に！作品がよすぎて！ jrくんのひつ連ははかなくて綺麗ですよね〜 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ふあとさん» ありがとうございます！現在Twitterは開設しておりません。今後も予定はありませんが一度検討してみるのもいいかなと思いました(^ ^)良い機会を下さりありがとうございます！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿
| 作成日時：2020年3月25日 1時
