32.乗り越えられない ページ32
京本side
※ご家族の設定もフィクションであり事実とは異なりますのでよろしくお願い致します。(作者より)
｢もういいから｣
『待ちなさい、まだ話が、』
｢もういいってば…！｣
立ち上がって鞄を引っつかみ、朝ごはんもろくに食べないままにリビングから出ていく。
ドアを開けると心配そうに俺を見る母ちゃんがいたけど、見ない振りをして玄関に行ってそのまま家を出た。
…なんでわかってくんないの、全部全部。
＊＊＊
『大我、来週の予定は空けておきなさい』
｢え？…ん、別に大丈夫だけど｣
朝食のパンを頬張りながら、父ちゃんの言葉に耳を傾ける。
新聞にあった目線を俺の方に寄越して、何やら機嫌よく話し始めた。
『見合いの話がきてな』
｢へ…見合い？｣
『その様子じゃ恋人もいないんだろう。…跡を継ぐのは大我しかいないんだ、何が言いたいかわかるな？』
いや、待ってよ…父ちゃん。
そんなのあんまりだ。
｢ちょ、ちょっと待って…っ、そんな話聞いてない｣
『先日決まったばかりだからな。先方のお嬢さんも大我のことを気に入ってくれたそうだ、良かったじゃないか。』
｢…は？｣
なんで勝手に全部決めるんだよ、なんで顔も知らない、会ったこともない人との見合いになんて行かなきゃならないんだよ。
気づいてよ、ねぇ、父ちゃん、
俺もう子どもじゃない。
自分のことは自分で決めたい。
それに、俺にはもう、
｢……大切な人がいる｣
『大切な人？』
｢恋人がいるんだ…結構、前から｣
一瞬驚いた顔をした父ちゃんは、新聞を机の上に置き、向き直った。
『…なんで言わなかったんだ。知っていれば見合いは、』
｢言えなかったの、…言えなかったの｣
下唇を噛んで俯くと、顔を覗き込まれる。
俺が悲しい顔をするといつも、父ちゃんはこうする。
『何か、理由があるのか』
｢……男なんだよ｣
『…』
｢彼女じゃない…彼氏。俺と同じ、男なんだ、｣
顔を見るのが怖かった、言葉を発さない父が何を考えているのかわからなくて。
でも、すんなり受け入れてくれるとも、思ってはいなかったんだ。
『…認めることは、できない』
｢っ、なんで｣
『どうもこうも…言っただろう、跡継ぎはお前しかいないんだぞ』
｢…そればっかり。父ちゃんは俺の気持ちなんてこれっぽっちも考えてないじゃん！っ、……もういいから｣
.
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椿(プロフ) - 龍晴さん» ありがとうございます！すごく嬉しいです（ ; ; ）続編でもよろしくお願い致します！ (2020年9月15日 22時) (
レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 蕾華さん» たくさんありがとうございます！Twitter検討中です〜！良すぎるだなんて恐縮ですが嬉しいです(；A；)失恋といえばって感じになっちゃってます笑 (2020年9月15日 22時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
龍晴(プロフ) - ひとまず、お疲れさまでした！更新の通知が来るたびに、にやにやが抑えられないほどでした( *´艸｀)１人のキャラクターがかわいくて、かっこよくて、最高でした！ (2020年9月11日 22時) (レス) id: 34d069185e (このIDを非表示/違反報告)
蕾華(プロフ) - ひとまず区切りおめでとうございます〜！ 本当に更新が楽しみで、続編に続くと聞いて嬉しかったです。椿さんのTwitter私は見てみたいです〜o(｀ω´ )o 一人で三回もコメントしてしまいすいません。本当に！作品がよすぎて！ jrくんのひつ連ははかなくて綺麗ですよね〜 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ふあとさん» ありがとうございます！現在Twitterは開設しておりません。今後も予定はありませんが一度検討してみるのもいいかなと思いました(^ ^)良い機会を下さりありがとうございます！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿
| 作成日時：2020年3月25日 1時
