19.残したものは ページ19
松村side
俺がもたもたしているうちに、時間はかなり経っていたようだ。
スマホの画面にうつし出された23:30の表示にため息をついた。
普通ならばこんなに待たされたら帰るものを、奴は待っていた、とても、健気に。
隠れていろと言われても気になってしまう、行き場のない思いに苛立った全身が、少し震えていた。
若干の距離がある静かなロビーからは、愛しい恋人と男の声が未だ響いている。
慎『ねぇきょも、ここで話すのあれだしさ、外行かない？』
京『…』
数分間の談笑ののちに聞こえてきたそんなセリフ。
俺は大我の微かな息遣いさえも逃したくなくて、逃げ出したくなる気持ちを抑えながら必死に耳を傾けた。
京『あのさ、慎太郎…俺付き合ってる人がいるって、言ったでしょ？、』
慎『…そうだね、言ってた』
京『そのときさ？…勢いあまって、あいつのいいところなんてないって言っちゃったけど、』
ショックのあまり少しだけ顔を覗かせてしまう。
いや、まじかよ、そんな、
京『あれ全部嘘だから…俺ね、あいつのいいところたくさん知ってる』
慎『じゃあ、教えてよ…それ』
大我の一挙手一投足に忙しなく反応している心臓には無視をして、立ち上がった大我の後ろ姿を見ていた。
京『ふふん、やーだよ、教えてあげない』
慎『え、なんでよ！』
くるっと楽しそうに慎太郎とやらの前でターンした大我は、にこりと笑って言葉を続ける。
京『俺がだいすきなあいつのことは俺だけが知ってればいいでしょ？、ふふ、ごめんね、俺このあと用事あるの』
慎『…っ、まってきょも！行っちゃうの？』
踵を返した大我を追いかけるように立ち上がった彼に、大我が振り返る。
その瞬間に、なぜかバチリと、彼と目が合ってしまった。
あ、やばいと思ったときにはもう遅く、途端に複雑な顔をされる。
京『もう行かなきゃ、放って置いたら悲しくて泣いちゃうと思うの』
だからばいばい、またね、って言い残した大我は、ちょっと、いやかなりずるい。
またね、なんて言うなよ、あいつが諦められないだろ、
ごちゃごちゃと整理しきれない感情と、大我が愛しいという想いで、溢れかえりそうだ。
最後にもう一度だけ目が合った彼は、浅くため息をついて、眉を下げて笑った。
まるで俺に、降参です、とでも言っているかのように。
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椿(プロフ) - 龍晴さん» ありがとうございます！すごく嬉しいです（ ; ; ）続編でもよろしくお願い致します！ (2020年9月15日 22時) (
レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 蕾華さん» たくさんありがとうございます！Twitter検討中です〜！良すぎるだなんて恐縮ですが嬉しいです(；A；)失恋といえばって感じになっちゃってます笑 (2020年9月15日 22時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
龍晴(プロフ) - ひとまず、お疲れさまでした！更新の通知が来るたびに、にやにやが抑えられないほどでした( *´艸｀)１人のキャラクターがかわいくて、かっこよくて、最高でした！ (2020年9月11日 22時) (レス) id: 34d069185e (このIDを非表示/違反報告)
蕾華(プロフ) - ひとまず区切りおめでとうございます〜！ 本当に更新が楽しみで、続編に続くと聞いて嬉しかったです。椿さんのTwitter私は見てみたいです〜o(｀ω´ )o 一人で三回もコメントしてしまいすいません。本当に！作品がよすぎて！ jrくんのひつ連ははかなくて綺麗ですよね〜 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ふあとさん» ありがとうございます！現在Twitterは開設しておりません。今後も予定はありませんが一度検討してみるのもいいかなと思いました(^ ^)良い機会を下さりありがとうございます！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 297f127f9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿
| 作成日時：2020年3月25日 1時
