ヒーロー?4 ページ24
side ym
あれから数日間いのちゃんは本当に家にいてくれて、沢山お世話をしてくれた
苦しさとだるさで何もできなくなる自分に驚いて、落ち込んで嫌になった
けどこれはΩのひとはみんな同じだから、俺もそうだからって
人にやってもらうとか頼むとかが申し訳なさ過ぎて心苦しかった
けど俺がやってもらってること、やってほしいことをしてるだけだよって
常に情緒不安定だったからかわいそうになったのか、本性はすごく優しい人だったのかわからないけど、すべてが初めての僕にとっていのちゃんはヒーローみたいだった
それだけじゃない、いろんなことを教えてくれた
これから気を付けないといけないこと、薬の使い方、仕事のこと
でも、正直話したくもないことばっかりだった
聞けば聞くほど先が暗くなっていく…
「まずなんで俺のことわかったの?」
いの「なんとなくだけど匂いとか行動とか?まあ昔の自分と同じ感じだったから」
「いのちゃん意外と見てるんだね、俺勘違いしてたかもいのちゃんのこと」
いの「あと経験よねー山田ほんとに遅いんだもん、俺なんて高校生入ってすぐだったよ」
「えっ⁉じゃあもう結構長いじゃん!そんな、いのちゃんのこと全然気づかなかったけど、どうやってやり過ごしてるの?」
いの「大学とか勉強あるってことにして仕事休んだりオフもらったり、だから山田はちょっとだけ恵まれてたって思ってほしいかな」
「うん、恵まれてる、ね。」
いの「体も薬の調整がうまくいくようになったら大分よくなるよ、仕事もぎり行ける」
「そっか、でもそれで仕事できるならいいか。俺仕事できなくなるのだけは絶対に嫌、ずっとJUMPにいたいからさ、誰にも言わないで…?いのちゃんなら気持ちわかるよね?」
いの「誰にも言わないよ。そのかわりに俺には全部報告すること、んでおかしいと思ったらすぐに病院いくからね」
「病院…あと触れ忘れてたけどマネに渡してた鍵ってどうなるんですかね…?」
いの「あのマネが俺に渡したやつね。俺がまたこうやって来るかの親とか事情を知ってる人が様子見に来るかどっちがいい?」
「また来てくれるの?なんか優しすぎて怖いんですけど」
いの「そのうち本当に優しすぎてかっこよすぎておかしくなるような人が現れるよ」
そう言って誰かを思い浮かべたように微笑むいのちゃんは
俺が見てきた中で一番美しかった
このヒーロー(仮)が仮面に覆われまくっていたと知るのはまだまだ先のこととなる
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作者名:princes77599687 | 作成日時:2020年9月28日 19時