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六十、熱き想いは涙へと ページ21

「…え?」

カグヤは思わず聞き返す。

いま、サンが、自分のことを好きだと言ったように聞こえたが、本当だろうか、と。

自分の聞き間違いでは、ないだろうか、と。

サンは、そんなカグヤに、もう一度、

「好きだ、カグヤ。」

としっかり伝えた。

サンの真剣な瞳は、カグヤを見つめる。
こちらが恥ずかしくなるくらいにしっかりと。

その後、サンはしっかり伝えたことがなかったからな、と言いつつ照れたように笑った。

「ぼ、僕、男だよ!?」

サンが本気で言っているのか、正気なのか確かめたくて、カグヤは言った。

サンは、

「知っている。」

と間をおかずにそう答えた。

男である自分がサンを好きなのは本来、普通ではない。

「じゃあ…!」

「この時代、男色など珍しいことではない。まさか自分がそうなるとは思わなかったがな。」

サンは優しい笑顔で言った。

普通ではないのに、サンも…?

「でも…!」

なおも言いつのろうとするカグヤに、サンは少し切なげに笑って、

「カグヤは、相手が俺じゃ嫌か?」

「……嫌じゃ…ない…。むしろ…。」

嫌なわけ…あるはずがない。

「むしろ…?」

「嬉しい…けど…サンは!…サンは、本当に僕でいいの…?後悔、しない?」

嬉しい。涙が出るほどに。
でも、サンは…。

「君でいいんじゃない…君が、いい。」

サンは、そっとカグヤに近づいた。
おもむろに、カグヤの頬に手を当てる。

「サン…。」

そして、優しくそっとカグヤの唇に口付ける。
優しく柔らかい口付け。

唇が触れたのは一瞬で、そっと、離れていく。

「カグヤ…好きだ。」

サンはもう一度、そう言った。

優しい、それでいてどこか嚙みしめるような言葉。

カグヤの頬を温かい涙がそっと零れ落ちた。

苦しくて、どうしようもなかった、熱い想い。
それが、涙となって、カグヤの頬を伝ったのだった。

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せなち(プロフ) - 大好きなプリンスカグヤのお話!更新が楽しみで仕方ありません!!これからも頑張ってください! (2017年5月21日 21時) (レス) id: 976f699d49 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - いつも楽しみに見てます!更新される度きゅんってなったりせつなくなったりとしてます。これからも頑張って下さいね!応援してます! (2017年5月10日 6時) (レス) id: ceae9f4bba (このIDを非表示/違反報告)
ぎゅーん(プロフ) - プリカグ大好きすぎて(≧∇≦)更新待ってます! (2017年3月28日 17時) (レス) id: 5bcc2fc986 (このIDを非表示/違反報告)
一松大好き(プロフ) - 続編おめでとうございます。更新頑張ってください! (2017年3月17日 22時) (レス) id: 947c26b20a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マリーAI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/  
作成日時:2017年3月16日 20時

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