五十九、儚い月 ページ20
顔が見えなくても誰だかわかる。
「サン…。」
カグヤは歌うのをやめ、声のする方__サンの方へと向きなおった。
少し驚いたような表情のカグヤ。
「すまない。眠れずにいたら、美しい歌が聞こえたから…。」
サンが照れたような表情を浮かべて言った。
「ううん、大丈夫。」
カグヤは首を振り、笑顔で答えた。
サンは、カグヤの隣まで来て、月を見上げた。
「今日の月は儚い感じがするな。」
「儚い…?」
サンの言葉に、カグヤも再度月を見つめる。
「それに、カグヤも。カグヤまで、月に吸い込まれて消えてしまいそうだ。」
サンは今度はカグヤの方を見つめ、そう言った。
「そうですか…?」
カグヤは、サンの方を向き、首を傾けた。
「…いっそ…その方が楽かもしれない…」
カグヤは、サンには聞こえないような小さな声で呟いた。
「…ん?なんか言ったか?」
「ううん、なんでも。」
カグヤは、消えた方が楽なんて、自分は相当弱っているかもと自嘲する。
「まあ、そうされては、困るんだがな。」
サンの瞳に真剣な色が浮かぶ。
サンの真剣な瞳がカグヤの瞳を見つめる。
「カグヤ…。」
サンがしっかりとカグヤの名を呼んだ。
「はい?」
カグヤは返事を返す。
「…好きだ。」
サンは、しっかりと嚙みしめるようにそう、確かに言った。
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せなち(プロフ) - 大好きなプリンスカグヤのお話!更新が楽しみで仕方ありません!!これからも頑張ってください! (2017年5月21日 21時) (レス) id: 976f699d49 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - いつも楽しみに見てます!更新される度きゅんってなったりせつなくなったりとしてます。これからも頑張って下さいね!応援してます! (2017年5月10日 6時) (レス) id: ceae9f4bba (このIDを非表示/違反報告)
ぎゅーん(プロフ) - プリカグ大好きすぎて(≧∇≦)更新待ってます! (2017年3月28日 17時) (レス) id: 5bcc2fc986 (このIDを非表示/違反報告)
一松大好き(プロフ) - 続編おめでとうございます。更新頑張ってください! (2017年3月17日 22時) (レス) id: 947c26b20a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリーAI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/
作成日時:2017年3月16日 20時