・ ページ26
＿＿蓮
お開きになり帰り道、
じゃあ目黒あと頼んだ。とタクシーに乗り込んだ翔太くんを見送って歩きだしたところ。
「こっから近いし、大丈夫だよ？」
「俺が心配なんです。」
「…ごめんね、ありがと。」
恥ずかしそうに半歩前を歩く彼を見て、
ぎゅっと拳を握りしめた。
悔しかった。
何にも見えてない自分が。
「…目黒、？」
情けなくて俯きながら歩いていると、
心配そうな顔をして覗き込んできた。
凛々しい眉毛が下がって不安そうで…。
「やっぱり迷惑だよね…俺１人で帰れるよ」
「あ、いや！ 違うんです、そうじゃなくて…」
「何にも気付けなかった自分が悔しくて…、
この前肉食べに行ったとき…
俺のこと待ってくれてる時何か考えてたのも、
乾杯するときに来てた着信も、
…その人からの連絡だったんすよね…？」
思い返せば気付けてた瞬間がいっぱいあって、
自分で喋ってて、不甲斐なさに涙が出そうになる…。
「…うん。」
「俺浮かれてて、自分のことしか考えれてなくて…すみません。」
「謝んないでよ、」
そっと俺の掌に触れて、
固く握られているのをほどいていく。
爪が食い込んで跡になっているのを撫でながら、
俺感謝してるんだよ…？
って、少し下にある顔が俺を見上げた。
「正直スマホを見るのが嫌になる事があるんだけどさぁ、
そんな時に絶対目黒から連絡くるの。
その通知見ると安心するんだ。
重い気持ちが軽くなってく感じ…。」
ね？ と笑う舘さんは、
儚くて、なんだか消えてしまいそうな気がした。
「目黒はもうとっくに俺の力になってくれてたんだよ。」
愛しい。守りたい。抱き締めたい。
言葉が溢れてしまいそう…、
今伝えたって余計に困らせてしまうだけだと自分に言い聞かせて、ぐっと堪える。
「もっと…もっと頼ってください。
俺が絶対守りますから、舘さんのこと。」
「ふふっ、分かった…なんか照れるよ。」
「俺は大真面目なんすけど、。」
マンションの前に着いて、心配だからと強引に部屋の前まで送ると、
あ…と呟く舘さん。
ポストの受け口に切手の無い封筒が挟まっていた。
確認をとって中身を確認すると、
いつの間に撮ったのか…移動中や食事中の隠し撮りだった。
「今までは、手紙だけだったのに…。」
瞳に困惑の色が見えて心なしか呼吸も早い、
心配になって声をかけようとした時…
「ごめん目黒。」
「もう少しだけ、一緒に居てくれないかな…。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 899人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニナ(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです！ありがとうございます！どうかどうか、二人の思いが重なってほしい…涙 (2021年10月5日 23時) (
レス) @page49 id: b294cacc31 (このIDを非表示/違反報告)
無(プロフ) - ニナさん» コメントありがとうございます◎更新に波があって申し訳ありません…ぜひぜひ今後とも楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2021年10月5日 23時) (レス) id: 7e11e0c637 (このIDを非表示/違反報告)
無(プロフ) - 魏紫姫 桜描さん» コメントありがとうございます◎！めめだていいですよね〜…作品も供給も是非もっと増えて欲しいですよね、、 (2021年10月5日 23時) (レス) id: 7e11e0c637 (このIDを非表示/違反報告)
ニナ(プロフ) - 初めまして。ものすごく続きを楽しみにしている者です。次の更新、マイペースでもちろん構いませんので、楽しみにしてますね。応援してます！ (2021年9月30日 22時) (レス) id: b294cacc31 (このIDを非表示/違反報告)
魏紫姫 桜描 - 初コメです！俺も，めめだて好きなのでめっちゃ嬉しいです！俺も，めめだての小説書いてるので、読んでみてください！応援してます！ (2021年8月1日 12時) (レス) id: 067498defb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無 | 作成日時：2021年4月19日 21時
