崩したい、その表情。【黒赤】

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＿＿涼太

あれから一ヶ月くらい経つが、

目黒とは
ちょこちょこ飲みに行ったり、
買い物に行ったりするようになった。

俺から暇？って連絡することもあれば、
目黒から誘いを受ける事もある。



目黒といると、


頑張ることをやめようとする自分が居ることに気づいた。



だらしなくなる訳ではなくて…、

気を張り続けなくていいかもって思える、

そういう…心地いい感じ。



日々に彩りが増えたような感覚だ…。




だけど最近、



ｳﾞｰｯｳﾞｰｯ…ｳﾞｰｯｳﾞｰｯ


「…はぁ…。」



…着信音に嫌気がさす。


…隙が出来てしまったんだと思う。



目黒との距離が近づいてから、
悪い言い方をすれば浮わついていたような、
そんな自覚はある。


ガードが緩まってしまっていたんだ。



「…。」



意を決して通話の応答ボタンをタップすると、すぐにその声が聞こえてくる。



「もしも…」
『あ！ やっと出てくれましたね！！
連絡しても返事くれないし…私心配したんですよ〜…。』



甲高い声が耳に響いて、思わず機器を耳から遠ざけた。



『あ、そうそう！ ご飯いつ行きます？ 私いつでもおーけーですからね？』

「ですから食事は行けないって言ってますよね…。」

『え〜…一回くらいいいじゃないですかぁ！』



「…すみません、
もう家を出る時間なので失礼します。」

ﾌﾞﾁｯ…ﾌﾟｰﾌﾟｰ



「はぁ…。」



収録の時間まではまだ余裕があるが、

会話を続けることが苦痛で一方的に切ってしまった。


通話を絶っても、
次はメッセージの通知がなりはじめて、


…本当に懲りない人だな、。



憂鬱な気持ちのまま画面を撫でていると

またひとつ、
メッセージの受信を伝える振動がした。



何度目かのため息を着いて指を動かすと、
それは目黒からのものだった。



《舘さんが好きそうなアクセサリー見つけたのでショップのリンク送りますね。》



貼られてあるリンクをタップすると
俺が好きなタイプのアクセサリーが画面に写し出されて…



「よく分かるなぁ…。」




さっきまでのどろどろ纏わりつくような感覚は無くなり、

自然と笑顔になっていた。




「…。」




《凄いね、本当に好みのやつだったよ。》
《都内に店舗あるみたいだから今度一緒に行こうよ。》

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