崩したい、その表情。【黒赤】

・ ページ13

＿＿蓮




「………。」



俺は今、感動している…。



nb「おま…にやにやしすぎだろ(笑)」

「…、…だって…！」



だって…ついに、ついに！

俺の携帯に…。



「舘さんの連絡先が…俺の携帯に！」

nb「うるせぇな(笑)」



先日、歌舞伎は無事に千秋楽を向かえて、
今日は翔太くんとの[宮舘涼太攻略会議]。


まあ良かったな、交換できて…


と唇の端を上げながらビールの入ったグラスを掲げた。

俺もそれに続いてグラスをあわせると、
カランと心地の良い音が鳴った。



nb「んで？ どうやって聞き出したの？」

「あの…それが舘さんから話しかけてくれて。」

nb「えっ！ 涼太から？！ まじ？！」



余計気になるんだけど、詳しく話せ。
って身を乗り出す翔太くんに、
連絡先ゲットできて嬉しくなってる俺も顔を寄せる。



「千秋楽の後の打ち上げしかないと思って

タイミング図ってたんですけど…

舘さんに限らず
snowmanのメンバーの周りって誰かしらが囲ってて…」



それでもタイミングがあるはずだと思って、

自分のいる輪の会話に参加しつつ、
いつでも切り込んでいけるようにスタンバイしてた…。


(…あ。)



挨拶に来たであろうジュニアと話し終わって、
飲み物に手を伸ばしたときに、

ふっと外した視線が…
俺のそれと重なった。


その視線は、俺が持つビールグラスに移される。

舘さんは自分の周りを見渡し、
栓が空いたばかりのビール瓶を小さく掲げて、

俺に向かって微笑んだ。


　


おいで…って、そういうことだ。






舘さんと視線をあわせたまま

グラスをぎゅっと握り直して立ち上がった。

・→←覚悟と怯弱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す