24 ページ26
you side
「仕事の方は上手くいってるのか？」
『うん、まぁそれなりに』
「そっか……ごめん、手紙……」
『ううん、いいの』
彼との手紙のやり取りは間隔が開くようになって
そのうちパタリと手紙が来なくなったのも、
気にしていない。
『それより結婚！おめでとう』
「ありがとう……でも、」
『でも？』
彼はぽつりぽつりと話し始めた。
彼の実家は農家で、決して裕福とはいえない家庭だった。
ある時、となり町に住む親戚から縁談の話が舞い込んだ。
その町で有名な商家には一人娘がいて、
婿養子を探しているという話だった。
そこで彼に白羽の矢が立ち、一人娘も彼を気に入って
あれよあれよと縁談まで進んだ。
「正直さ、金はあるんだよ」
『あの大きなお屋敷でしょ？すごいね』
その商家の若旦那ってことだもん。
すると彼は、大きな溜め息を吐いた。
「……だけど、嫁とは上手くいかなくて」
『好き、じゃないの？』
「好きとか嫌いとか、そういう判断基準じゃ駄目なんだ。
裕福な家と結婚すれば、俺の家が助かるだろ」
彼は一人娘と結婚したんじゃなく、
その"裕福な家"と結婚したのだった。
「嫁は俺のことを
好いてくれているみたいなんだけどさ……俺は」
『そういう気持ちを持っていないってこと？』
彼は頷いた。
それでも結婚するんだ。
「それが最近は孫、孫、と催促されて」
好きな人と一緒にいたい、共にありたくて結婚する。
そんなことを想像していた私は、甘いのかもしれない。
「……なぁ、いつまでいるんだよ」
『明日には戻ろうと思ってるよ』
すると彼は、私の肩をぐっと掴んだ。
「A……お前、俺のこと好きだったろ？」
『……え、まぁ……昔ね』
恥ずかしいなぁ、なんて答えると
彼が私の腕を引っ張った。
何を言っても答えてくれず、
とにかく私の腕をぐいぐい引きながら。
迷いのない歩き方、目的地は決まっているようだ。
『きゃ……！！』
着いたのは、村の外れにある小屋。
私はその中に放り込まれ、
バランスを崩して尻もちをついた。
時刻はもう夕方から夜に差し掛かる頃。
小屋の中は薄暗く、彼の表情が読み取りにくい。
だけど、彼の言葉ははっきりと聞こえた。
「A、抱かせろ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はな(プロフ) - でん太郎さん» お返事遅くなりました！利吉さんどんどん変になっていきますどうしよう笑"大好きだなんて！ありがとうございます！とっても嬉しいです！のろのろ更新ですが頑張りますね。コメントありがとうございます❤️ (2022年7月31日 9時) (
レス) @page42 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
でん太郎(プロフ) - 利吉さんがギャグ枠になってるのがツボすぎて、大好きです…😭ここで他の作品のことをお伝えするのもアレかとは思いますが、全作品、構成も夢主も、文章もとても大好きです、これからもずっと応援しています🙇♀️ (2022年7月13日 22時) (レス) @page9 id: 1487e65024 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 青野ゆあんさん» ありがとうございます！ちょっと変わった利吉さんに挑戦です〜更新頑張りますので、引き続き読んで貰えたら嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2021年12月25日 22時) (レス) @page12 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
青野ゆあん(プロフ) - 好き,,,めっちゃ好き,,, (2021年12月19日 23時) (レス) @page4 id: a96dc153b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな
| 作成日時：2021年12月19日 1時
