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利吉 side
『降ろしてっ』
利吉「はいはい、暴れない」
板間に座らせると、
Aさんはぷらりと脚を揺らした。
草鞋を丁寧に脱がせてあげると、
私は板間に上がって押入れから布団を出した。
利吉「Aさんのふかふかの布団とは
違いますけどね……はい、どうぞ」
『本当に利吉くんのお家なの?
誰か女の子の家なんじゃ……ひぇえ!』
利吉「なんでそうなるんです」
なぜそんなに疑うのです。
他の女の家に可愛いAさんを連れ込むなんて、
有り得ません。汚らしい。
利吉「一応、私の住居ですよ。
仕事であんまり帰らないから、住んでるとも
言い難いけど、時々帰って休んでいます」
ちなみに、
利吉「私が家に招いたのは、Aさんだけです」
私は、誰もこの家には入れたことがない。
家に来たがる女も多いけれど、
そこいらの女に私事を見せるなんて絶対嫌だ。
『ふぅん』
利吉「ふぅん、って」
"貴女だけ"なんて、特別感満載なのに。
やっぱりAさんには響かない。
するとAさんは思い付いたように、
『それなら、
私の家に入ったのは利吉くんだけだよ?』
その言葉と、ふわりとした笑顔。
じわじわっと心の中に温かいものが流れていく。
やられた。特別感を覚えてしまった。
利吉「………」
『利吉くん?どうしたの?』
本当は枕に顔を埋めて、
うわー!っと叫びたいくらいなんだけれど。
ぐっと我慢して、いつもの私を装った。
利吉「……なんでもないですよ。ところで、」
『何?』
そうだ。どうしてAさんを担いで、
家に帰ってきたかと言うとだ。
利吉「ちょっとこれ」
『んぐ』
取り出した体温計を、Aさんの口に放り込んだ。
利吉「……はい、いいですよ」
『べぇ』
少しして、Aさんの口から引き抜いた体温計を見ると
利吉「ほら見ろ、熱がある」
『えぇ!?』
やっぱり。
合戦場で会った時から顔が赤いと思っていたのだ。
いつから発熱していたのかわからないけれど、
きっとまた無理して仕事をしていたんだろう。
『やだぁ、家に帰って寝る』
利吉「駄目ですよ。病人が家にひとりだなんて、
許しません。ほら、布団に寝てください」
『ぎゃー』
半ば強引に布団に寝かせた。
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はな(プロフ) - でん太郎さん» お返事遅くなりました!利吉さんどんどん変になっていきますどうしよう笑"大好きだなんて!ありがとうございます!とっても嬉しいです!のろのろ更新ですが頑張りますね。コメントありがとうございます❤️ (2022年7月31日 9時) (レス) @page42 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
でん太郎(プロフ) - 利吉さんがギャグ枠になってるのがツボすぎて、大好きです…😭ここで他の作品のことをお伝えするのもアレかとは思いますが、全作品、構成も夢主も、文章もとても大好きです、これからもずっと応援しています🙇♀️ (2022年7月13日 22時) (レス) @page9 id: 1487e65024 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 青野ゆあんさん» ありがとうございます!ちょっと変わった利吉さんに挑戦です〜更新頑張りますので、引き続き読んで貰えたら嬉しいです。コメントありがとうございます! (2021年12月25日 22時) (レス) @page12 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
青野ゆあん(プロフ) - 好き,,,めっちゃ好き,,, (2021年12月19日 23時) (レス) @page4 id: a96dc153b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2021年12月19日 1時