【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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you side



今夜の忍務は無事終了。



密書を取り戻しに、とある城に忍び込んできた。
私でもこれくらいは朝飯前なのだ、えっへん。




『さぁて、無事に届けたことだし』




帰って寝よっかな。
まだ夜中だしな、皆寝てる時間だしな。


そう塀の上から飛び降りようとすると、
誰かが下から手を振っているのが見えた。




月明かりに照らされて………




利吉「Aさーん」




まさかの利吉くんだった。
にこにこ笑顔の利吉くんだった。




『なっ、何してんの！』




叫んでいるように思うかもしれないけれど、
私はめちゃくちゃ小声だ。

大急ぎで飛び降りて、利吉くんの元へ向かった。




『ど、どうしてここに？』



利吉「偶然ですね。私も仕事でこの城に」



『そうなんだ……知らなかった』




ちなみに私も利吉くんも、
あまり誰かと一緒に仕事をすることはない。


私は自分が生きていけるだけの報酬が手に入れば良いから、誰かとどうこうしない。
利吉くんは……知らないけれど。




利吉「ねぇAさん。
　 忍同士で変なこと言いますけど」



『はい？』



利吉「私はいつだって、
Aさんの無事を願っています」



『……はい？』




衝撃。




忍を志してから、
そんなことを他人に言われたのは初めてだった。



今日は友でも明日は敵。
そんなのが当たり前の忍の世界。


だから一人が良い。
傷付けないし、傷付かない。




利吉「Aさんは？」



『はい？』



利吉「私のこと、どう思いますか？」




どうって……正直、考えたこともなかった。


それに最近だしなぁ。
利吉くんが私の周りをうろちょろし出したの。



まぁ実力とか噂とか仕事量とか色々考えれば、




『なんだかすごい人だなぁと思います』




語彙力の無さが恥ずかしいけれど、
とにかく今はそういう感じだろうか。


私の答えを聞いて、利吉くんは思いのほか
満足そうに頷き、口布越しに私の唇を撫でた。




そしてこんなことを言ったのだ。






利吉「見ていてください。
今に私のことで頭がいっぱいになりますよ」






私ごときに、何を言うのこの人。

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