【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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利吉side



突き飛ばされた時に打った頭が痛い。



"この布団、お気に入りなんだから！"と、

なんとも可愛らしいことを言って
ぷりぷり怒るAさんがこれまた可愛かった。



そしてまぁ追い出されたんだけど。




利吉「あーぁ。よしよしし損ねた」








Aさんは、フリーのくの一だ。
私よりふたつ歳上。


出会いというか、ある仕事中に見掛けたくの一、
……それがAさんだった。


仕事が一段落ついたのか、とある城の塀の上。
するりと口布を外した姿を見た瞬間。




利吉「っ……！」




月明かりに負けない美しさに、
時間が止まったような気がした。

Aさんは私に気付かないまま、
その場を去ってしまったけれど。



そこから私は情報網を駆使して、見つけ出したのだ。

Aさんの名まえも、よく通う忍者の連絡所も。




少しずつ話し掛けて、
私を認識してくれるだけで嬉しい。


会えるだけで、
利吉くん、と呼んでくれるだけで嬉しい。




『知ってるよ！フリーの売れっ子！でしょ？』




その笑顔も、仕事の顔も
知れば知るほど、好きになった。
そしてそれは現在進行形。








「ねぇ利平、」


利吉「あぁごめん。君、誰だっけ」


「酷い、最低」



抱いた覚えも微かな記憶もない。

そんな女に呼ばせる名も、
そんな女の名も、どうでも良い。







ねぇ、Aさん


私は、貴女が好きだ。
貴女が、欲しい。





◆◇




Aさんをよしよしし損ねた日から数日。

連絡所へ来てみても、彼女を見掛けなくなった。



きっと、忙しいのだろう。

Aさんって、自分では"私なんてねぇ"なんて
言うけれど、かなり優秀なくの一だ。


そこも、私が好きで尊敬するひとつの理由。




だけど、




利吉「人には無理をするなと言うくせに」




あまり無理をするのは、許し難い。







そして今日は来ているかと連絡所へ顔を出せば、
誰かと話すAさんを見つけた。





お疲れ感満載の、へろんとした笑顔で。

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