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利吉side
Aさんはあっという間に眠ってしまった。
きゅっと握るその小さい手に、
小さい身体に、そしてその心に、
どれほど傷を抱えているのかわかった。
Aさんがその男を好きだった過去。
乱暴された過去。
それに囚われている現在。
そのために進めない現在。
『んん、』
そっと額に乗った髪を撫でて避ける。
まじまじとAさんの顔を見るのは初めてだ。
長いまつげも、可愛い。
ふっくらした唇も、可愛い。
そう思えば思うほど、
こんなに可愛いAさんを傷付けた男が許せない。
それなら私が、Aさんを幸せにしたい。
"これからもずっとAさんを追いかけます"
Aさんの小さな手を握り直し、決意するのだった。
◆◇
『……りきち、くん』
時刻はもう夜に差し掛かっていた。
力の抜けていたAさんの手が、
私の手を握り返す。
利吉「……はい。少し眠れましたか?」
『うん……ごめんね』
利吉「何も謝ることないですけど……そうだ、体調は?」
Aさんはゆっくりと上半身を起こした。
私はその身体を支える。
『うん、もう大丈夫そう……って今何時!?』
Aさんは寝起きの目を擦っていたけれど、
急に血相を変えて私を見た。
利吉「元気になって良かった。
でも突然いつも通り動いてはいけませんよ」
『ねぇ、時間!』
利吉「私とAさんの間には時間なんて存在しな、」
『もう!そんなこと言ってない!!』
ぷぅ!と膨れるAさんは、
すっかり元気そうで一安心。
利吉「はいはい。もうすっかり日は暮れましたよ」
『うそ!……やだ、ごめんなさい。どんだけ寝るの、私』
たくさん寝て元気になったのだから謝ることはないし、
ここにいてくれて嬉しいのだから問題ない。
『……私、帰る!』
Aさんは急いで土間に降りようとしたけれど、行かせまいと腕を引いた。
『な、何?』
利吉「帰らせると思いますか?外は暗いのに」
『大丈夫だよ。私、忍だもん』
利吉「駄目です。どうしても帰るなら、
私がAさんの家に行きます」
『意味がわからないよ利吉くん』
Aさんはそう言うけれど、
泣きながら過去を話した貴女を
利吉「ひとりにしたくないんです」
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はな(プロフ) - でん太郎さん» お返事遅くなりました!利吉さんどんどん変になっていきますどうしよう笑"大好きだなんて!ありがとうございます!とっても嬉しいです!のろのろ更新ですが頑張りますね。コメントありがとうございます❤️ (2022年7月31日 9時) (レス) @page42 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
でん太郎(プロフ) - 利吉さんがギャグ枠になってるのがツボすぎて、大好きです…😭ここで他の作品のことをお伝えするのもアレかとは思いますが、全作品、構成も夢主も、文章もとても大好きです、これからもずっと応援しています🙇♀️ (2022年7月13日 22時) (レス) @page9 id: 1487e65024 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 青野ゆあんさん» ありがとうございます!ちょっと変わった利吉さんに挑戦です〜更新頑張りますので、引き続き読んで貰えたら嬉しいです。コメントありがとうございます! (2021年12月25日 22時) (レス) @page12 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
青野ゆあん(プロフ) - 好き,,,めっちゃ好き,,, (2021年12月19日 23時) (レス) @page4 id: a96dc153b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2021年12月19日 1時