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土井side
は組の教室で息を吐く。
忘れ物があったというのは嘘。
"私は、そう思っていないから"
Aは、私のことを
"親戚のお兄ちゃん"みたいだと言った。
少しがっかりしたのも本当だけど、
そりゃそうだと納得する。
普段の接し方を考えたら、
恋愛的な意味で好かれるわけがない。
今はこの立ち位置に甘えて、
少しでも傍にいられたら……そう思うのだ。
それから雑渡も諸泉くんも、また来るんだろうなぁ。
面倒だなぁと、ため息を吐いたところで
きり丸「土井先生いたっ!」
きり丸がえらく慌てて教室へ走ってきた。
土井「どうしたんだ、きり丸」
きり丸「俺、ふと思い出して……
土井先生、家賃払いに行きました?!」
……忘れていた。
土井「や、やばいぞ!忙しくてすっかり忘れていた!」
きり丸「これから行きますか?」
土井「そ、そうだな。
これ以上先延ばしにするわけにはいかない」
きり丸に教室の戸締りを頼んで、
私は急いで着替えて門へと走った。
門の前まで走ってくると、急に人影が飛び出してきた。
土井「っわわっ!」
どん、と身体に衝撃。
あまりに急いでいたので、ぶつかってしまった。
土井「す、すみません!……あっ!」
尻もちをついたらしい相手に驚いた。
『ごめんなさい、全然前を見てなくて……って、
半助さんだったんですね』
お尻をさすりながら立ち上がったのは、
まさかのAだった。
土井「す、すまない!
私が悪いんだ、慌てていて」
『大丈夫です。そんなに急いでお出掛けですか?
……あ、彼女と待ち合わせ?』
そう言って、Aはにやりと笑った。
土井「か、彼女なんていないよ。
これ。家賃を持って行くんだ」
『ふふっ、なるほど。私はこれから、
学園長先生に頼まれたお茶菓子を買いに行くの』
明日は忍術学園は休日。
学園長先生のご友人が遊びに来るらしい。
あ、あの菓子屋か。
その菓子屋のもう少し先に行ったところに、
私の家があるからよく前を通るのだ。
へぇ、と考えていると、
『ねぇ、半助さん……怒ってない?』
Aが心配そうな顔を向けた。
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梅こんぶ(プロフ) - こんばんは!そして新作おめでとうございます!私も土井先生も大好きでいつもはなさんの作る小説&ドキドキ&恋愛&いろいろ楽しみにしていました☆後お気に入り登録しました無理せずに頑張ってください! (2021年11月21日 1時) (レス) id: 067eb46949 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2021年11月20日 23時