【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

いってらっしゃい ページ34

you side



『出張？』



兵助「うん。明日に出て、次の日帰るよ」




今日の夕食は焼き魚定食だ。
そうそう、兵助が一泊の出張に出るらしい。




『気をつけてね……あー！
　明日の小テスト作るの忘れてた！』




がたーん！と椅子から立ち上がって頭を抱えると、
向かい側の兵助がくすくすと笑う。




兵助「あらら、手伝うよ」




本当、兵助って何なの。

優しくて、その笑顔も格好良くて大好きだし、
私を必死に求めてくれる、私しか知らない兵助も………




『…って、何考えてるの』



兵助「？顔赤いけどどうしたの」



『な、なんでもない』




私は食べ終えたお盆を持って、立ち上がった。





『できたぁ！』

　


小テストも仕上がって、私は筆を置いた。

かなり夜も更け、
というかもう夜中と言っていい時間帯だ。




『眠たい……』



兵助「お疲れ様」




あぁ、眠気が……。
こしこしと目を擦ると、兵助が優しく私の頭を撫でた。




『ありがとう、兵助』



兵助「ううん。……よし、
　 じゃぁ俺はそろそろ見回りの時間だ」




私を布団に入るように促し、兵助は頭巾を被る。





『いってらっしゃい。気をつけてね』



兵助「いってきます……おやすみ」




兵助は私の頬に口付けを落として、
見回りに出掛けた。




『おやすみなさい……』




それから間もなく、寝てしまったと思う。





◆◇



次の日、目覚めて上半身を起こす。


眩しいなぁ……なんて、障子の方に目を向けると、
床に何か落ちているのに気付いた。

布団から出て拾ってみると、
紙に石ころが包まれている。




『これ………兵助だ。懐かしい』




お互いに忍たま、くのたまだった頃。


当時、あまり堂々と会って話したりできなかったから、こうして連絡を取り合っていた。

かさかさと紙を広げると、変わらない兵助の丁寧な字。




−出張にいってきます。Aも、授業頑張って。

明日には帰るよ。−




『……いってらっしゃい』




その紙を大切に仕舞って、私は身支度を整えた。





お昼休み、昼食を済ませて教室へ向かう途中、
中庭の木陰に寝そべる誰かを見つけた。




『……誰？』




そっと近付いてみると……




「お疲れ、A」




私に気付いてパッと起き上がったのは、
不破雷蔵くんの顔をした





『三郎くん』

三郎くん→←可愛いってこと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す