【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

それから ページ24

you side



兵助と私は、在学中に何度も愛し合った。



日に日に逞しくなる兵助の身体に抱かれて、
幸せで幸せで仕方なかった。



何度も名を呼んで、呼ばれて
私も精一杯愛したし、お互いに愛を囁いた。







それは私の大切な思い出になり
心の奥に仕舞って、鍵をかけている。







『っあー！！終わったぁ』




真夜中、とあるお屋敷の屋根瓦の上。
今回の依頼を済ませ、んーっと伸びをした。




さ、帰ろう。




走り出そうとしたときだった。





「A……？」






背後で声がした。





『っ……！』




瞬時に振り返り、ばっと距離を取る。
私としたことが、気配に気付かないなんて。



闇に溶け込むような真っ黒の忍装束。
その人は、頭巾の口元の部分をずらした。




口元の布が外れて、
顔が月明かりに照らされる。








………あぁ、視界が滲んでいく。






心の奥に仕舞って
鍵をかけていた思い出が、感情が。


鍵を開けて、溢れ出す。




『へ、兵助っ……！！』




同じように頭巾の口元の部分を外して、
その胸に飛び込んだ。


優しく受け止めて、力強く抱きしめられる。






久々知「……やっぱりAだ」





◆◇




森の茂みの中にふたり。

月明かりが、まばらに差している。




『久しぶりだねぇ』



兵助「うん、元気そうで良かった」




卒業後、お互いにフリーのプロ忍という道を選んで
仕事を優先させる日々。



手紙のやりとりは、ぼちぼちするけれど
こうやって会うのは久々。





兵助「……A、口付けしても良い？」



『うん……ん、』





少しかさついた、唇が重なる。
兵助の口付けも匂いも、変わらなくて安心する。



唇が離れると、兵助は私を抱き寄せた。




兵助「会いたかった……」



『嬉しい……
　兵助、忍務で遠くまで行ってたんだっけ？
　手紙くれたもんね』



兵助「そうだよ。それもあってさ、
　 Aに会いたくて仕方なかった」





卒業してそれぞれの進路についたけれど、



私と兵助の心は
離れていたって通じ合っている。

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