【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

温かくて優しくて ページ21

you side



『明日から実習なの』



見回りの時間も過ぎた深夜。


お互いに部屋を抜け出して、
くく……いや、兵助と私は火薬庫の中。


奥の板間にふたり、ちょこんと座って
窓から少しだけ入る月の光だけが、私たちを照らす。




兵助「そっか……」



『すぐ帰ってくるよ？』




明日から一日、くのたま五年生は実習で不在になる。
見るからにしゅんとする兵助が可愛く思えて、
ぽんぽんと頭を撫でた。




兵助「……うん、でも寂しいな…
　 今日だって一度も会えなかったし、
　 見掛けることもなかったし」




兵助は頭を撫でていた私の手を取って
ちゅ、と口付けた。




『そうだね、今日はたしかに』




私も特に用事がなかったから、
忍たま長屋の方へは行かなかったしなぁ。
言葉を交わすのも、今日はこれが初めてなくらい。




兵助「A……」




兵助は口付けた私の手を引いて、抱きしめた。
すっぽりと収まる兵助の腕の中は、とても心地良い。


寝る前だから、緩く結われた兵助の髪。
垂れた髪がちらちらと私の頬を撫でる。




『兵助の髪、私より長いんじゃない？』



兵助「そうかな？でもAの髪は艶々で、綺麗だ」




そう言って私の髪を撫でた兵助の手は、
そのままするりと頬を撫でる。




兵助「……口付け、しても良い？」



『き、聞かないでよ……』




恥ずかしくて顔を背けると、兵助はふふっと笑った。




兵助「うん……じゃぁ、こっち向いて？」




こつんとお互いの額をくっつければ、
目の前いっぱいに兵助の笑顔。




兵助「大好きだよ……」



『私も……ん、』




重なる唇は温かくて優しくて。



本当は、いまだに信じられないの。

ずっと好きだった、憧れていた久々知くんが……
兵助が、私の恋人だなんて。




兵助「……寂しい」




兵助は小さな声で呟いた。




兵助「だから……」



『え…あ、痛っ……』




首筋に落とされる唇。
ちくん、と痛みが走った。




『なにっ、何したの！』



兵助「ん？……俺の印、付けたの」




満足そうな顔をしたかと思うと、
べろりと舌を這わす。




『あ、やっ……へ、すけ！』




ぐっと両肩を押すけれど、やめてはもらえなくて。




兵助「……駄目？」



『だ、駄目なわけ………！』




ないに決まってる。

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