【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

どう思うの？ ページ17

you side



『久々知くん、いつもごめんね』



兵助「全然。ちょっと待ってて」




必要な備品を準備して回り、
最後に久々知くんのところへやってきた。




兵助「えっと、煙玉だっけ？」



『うん、次の授業で使うの』




がさごそと薄暗い火薬庫の中、棚を漁る。





『久々知くんて真面目なんだよね、おまけに優等生』



兵助「え、なんだよ突然」




唐突に言ったもんだから、
振り返った久々知くんは驚いた顔をしている。




『皆言ってる。真面目だから付き合うのには
　つまんないけど、結婚するならありって』



兵助「えー、なんだそれ」



『ね』




つい先程くのたまで盛り上がっていた話。

やっぱり私は、久々知くんが一番だと思う。
その困ったような笑顔も、すらっと綺麗な指も。




兵助「……Aは？」



『何が？』



兵助「Aは、どう思うの？」




………前から好きだとか言えないでしょ。
こ、告白なんて無理無理。



どう答えればいいかわからなくて、
私は黙って俯いてしまう。




兵助「俺は……Aに、好かれたい」



『は……？』



兵助「す、好きなんだよ」




薄暗い火薬庫でもわかる、久々知くんの赤い顔。




『そ、それ、今言うこと？』




未だに話すのも緊張するのに、そんなのやめてよ。
やっと、やっと一緒に過ごすことに
慣れてきたところなの。

………本気にしてしまうでしょ。




兵助「いやもう、
　 真面目だ真面目だって言われてもさ。
　 それに別に優等生でもないしさ」



『真面目だよ優等生だよモテてるよ』




あれ。


気付けば私、じりじりと壁際に追い詰められている。




兵助「好きな子を目の前にして、
　 そんな事どうでもいい。俺だって男だし、
　 話したいとか触れたいとか色々思うよ」
　


『……本当なの？』



兵助「真面目だから、本当の事しか言わないよ」




トン、と背中に壁が当たった。



久々知くんの長いまつげがどんどん近付く。
こんな距離で見たことなんてない。
触れそうな程の距離に、私の身も心も捕らえられる。




兵助「Aは……どう思うって？」




あぁ、夢なんじゃないか……それでもいい。
それでもいいから。




『私も……久々知くんが、好き』





近付く久々知くんの唇に、私はそっと目を閉じた。

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