【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

惚れたとか腫れたとか ページ16

you side



どうして女子って、この手の話が好きなのだろう。


まぁあれよ……そうそう、恋の話。

惚れた腫れた、誰が良い、嫌。
今日の放課後も、話に花を咲かせる。



私はそんなことより、眠たい。
ふわぁ、と欠伸が出かけたところで




くの1「で、Aはどうなのよ」




後ろの席の友人が、私の背を突いた。




『んぐっ……どうって、何が』



くの1「気になってる人、いないの？」



『……いないいない、そんな人』




なんて私は大嘘を吐いたけれど、
皆はとくに怪しむ様子もない。




くの1「まぁAはそうかもね。真面目だし」



くの2「真面目といえば、
　 五年い組の久々知くんだけどさ」




久々知くんの名前が聞こえた瞬間、
どきっと心臓が大きく跳ねた。




くの2「真面目なのは良いんだけど、
　 付き合うとなったらつまんないかもね。
　 顔も格好良いんだけど……」




いいじゃん。真面目なのいいじゃん。
まつ毛よく見てよ、素敵だよ。


それにあの手作りデザート食べたら、
みんなイチコロよ。現に私、イチコロ。




くの1「まぁ優等生だし、
　 結婚するなら俄然アリだけどね」



くの2「確かに。でも私はやっぱりタカ丸さんだわ」




だよねー！なんて、タカ丸さんの話になると
次々に皆が話に加わって、どっと盛り上がる。




『駄目だ、……疲れてきた』




元々そういう話に疎い私は、
明日の授業に必要な用具を揃えるために
恋の話で大盛り上がりの部屋をそっと後にした。




◆◇

久々知side



兵助「はぁ……」



朝から何度溜め息を吐いているのか。




………


先日、Aが勘右衛門に引きずられて
食堂から出て行った後。




兵助「はぁあ…」



俺はその場にしゃがみ込み、盛大に溜め息を吐いた。


俺って今、Aに何を言おうとした？



あのデザートだって試作品とか言ったけど、
Aに食べて欲しくて既に試作を繰り返して
ばっちりに仕上げたものだ。



他の女の子はどうでもいいんだよ。



最近、気持ちがどんどん膨らんで、
触れたい、なんて欲も出てきて。




兵助「……Aが、好きなんだ」




小さく呟く。そう、いつかAに伝えられたら。






……….


尾浜「おーい兵助、Aが来てるぞ」




勘右衛門の呼ぶ声に、はっとする。
部屋の障子を開けると、Aが立っていた。

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