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利吉side
私の嫌な予感は当たる。
A絡みだと特に命中率は高い。
余談だけれど、小松田くんが一緒だと
さらに命中率は上がる。
いや、そんなことより。
急いで町まで来てみれば、
Aが男に絡まれているところだった。
その隣には初がいて、少し離れて……
おい小松田くん、何をしている。
『っ、嫌……！』
Aの悲痛な声を聞いて、
私の身体は瞬時に動いていた。
頭で考えるよりも、先に。
男を気絶させるなんてのは、私にとっては
朝飯前だから良いとして、問題はAだ。
利吉「大丈夫か？！」
『り、りきち、さ……』
カタカタと震えながら私の名を呼ぶA。
手を伸ばして支えようとすると、
Aではなく、初が飛び付いてきた。
初「……怖かったぁ！」
……は？
苛ついた私は、初の両肩をぐっと持って
自分から引き剥がした。
利吉「すまない初さん、Aさんが」
初「えっ……」
信じられないと言うように初は驚いた顔をしたけれど、私は構わずAに寄り添った。
利吉「大丈夫？怪我は？」
『うん……大丈夫です』
Aはほっとした表情を浮かべる。
幸い怪我はなさそうだし、
私もそんなAを見て、ひとまずほっとした。
……だけど。
利吉「はぁ……
もう、危ないことをするんじゃない！」
『ごめんなさい、お初ちゃんが危ないと思って』
そんなことはどうでも良い。
私にとってはAが何より大切。
………と、さすがに
言葉にするわけにはいかないので
利吉「……無事で良かった」
言いたいことをぐっと飲み込んで、
私は初の方を向いた。
利吉「初さん、何があったのか知らないが……
気が強いのは良いけれど、
男相手にどうなったって知らないぞ」
以前助けたときもそうだった。
意外と、と言ったらいけないかもしれないけれど
初は気が強い。
初「ご、ごめんなさい」
初は、しゅんと頭を垂れた。
『ごめんね、お初ちゃん。私が勝手に……』
初「いいえ！Aさんは私を助けてくれたんです」
その性格を否定はしない。
だけど考えて動かないと、
今回みたく大変なことになるかもしれない。
それこそ、他人を巻き込んで。
利吉「で、事の発端は何なんだ」
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作者名：はな
| 作成日時：2021年6月5日 22時
