【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ40)

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you side

『え、そ、そうなの？！』

てっきりお初ちゃんが
一方的に絡まれたのだと思った私は、
きょろきょろとお初ちゃんと男性を交互に見た。

男「あぁ、誘ってきたのはこいつなのによ！」

『さ、誘った？』

初「誘ったって、そういう意味じゃないわ！」

『そ、そういう意味？』

わけがわからなくて、
言い合いを始めるお初ちゃんと男性の間で
うーんと唸る。

すると突然、男性に腕を掴まれた。

『なっ、』

男「で、お前はこいつの知り合いか？」

『え、まぁ……』

ふうん……と、男性はじろじろと私を
上から下まで舐め回すように見る。

男「……そうか。じゃぁお前に来てもらおうか。
　なかなかの美人だしな」

『へ？……きゃ！』

掴まれた腕はそのままに、引きずられる。

初「ちょっと！Aさんは関係ない！」

男「うるさい！お前がぎゃぁぎゃぁ喚くからだ。
　代わりに、この女に相手をさせるんだ」

初「痛っ……！」

どん！と男性に強く押され、
お初ちゃんは尻もちをついた。

『お、お初ちゃん……！』

男「お前はこっちだ！」

ぐっと引かれた腕が、痛い。

……嫌、嫌。

いつかの記憶が、ぶわっと甦る。
路地に連れ込まれそうになった、あの記憶。

『っ、嫌……！』

背筋がぞっとする。
喉から声を絞り出したときだった。

「……嫌な予感は、よく当たる」

呟くような声が聞こえたかと思えば、
一瞬にして視界から男性が消えた。

男「がっ……！」

『っ……！』

足元にどさりと倒れる男性。
私は身体が強張って、なかなか動かせない。

だけど、男性が視界から消えて
次に私の目線が捉えたのは、

利吉「大丈夫か？！」

青ざめた顔で、私を見つめる利吉さんだった。

『り、りきち、さ……』

初「……利吉さん！怖かったぁ！」

なんとか声を出したところで、
利吉さんの胸に伸び込んだのはお初ちゃんだった。