【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ38)

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利吉side

利吉「父上、たまには家に帰ってください」

綺麗に洗った洗濯物を渡した。

山田「それはわかっているんだが……」

うーん、と頭を抱える父上。

母上のことを想うと、たまには家に帰ってほしい。
そのせいで、私が母上の小言を聞かなきゃならないし。

利吉「……父上。私は最近、思うことがあります」

山田「思うこと？」

利吉「はい、仕事も勿論大事ですよ。

　だけど、その仕事を頑張るためにも
　大切な人と過ごす時間をより大切に、
　そして愛おしく思うようになりました」

きゅっと膝の上で拳を握る。
恥ずかしいことを言っているけれど、本当なのだ。

私は疲れたらAに会いたくなるし、
次頑張るためにAに会いたくなる。

山田「……Aくんか」

利吉「は、はい」

Aと恋仲ということは
父上にはっきり伝えたことはないけれど、

あのほら、Aが川で溺れたとき。
あの辺からばれている。完全に。

利吉「そうです。だから父上も、時間を作って家に…
　母上に会いに帰ってください」

山田「そうだ……っなぁ！？」

父上が話し終わる前に、バァーン！と障子が開いた。

驚いた私と父上の目線の先には、

土井「くっ……良いこと言うなぁ利吉くんっ……！」

手ぬぐいで目元を押さえた土井先生が
立っているじゃないか。

土井「仕事魔の利吉くんを変えたAくんも
　素晴らしいよ！良いなぁ！」

そうだそうだ、
土井先生も私とAの関係を知っているのだ。

いや、しかしだ。

そんなに泣きながら言われると恥ずかしい。

利吉「あ、あの、土井先生」

土井「いやぁ、そんな素晴らしい恋人……！
　実に羨ましいよ……ぐずっ」

いよいよ本格的に泣き出したよ土井先生。

山田「半助だって恋人くらい作れば良いだろう……
　家内がお見合い相手を見繕っているとか
　言っていた気が」

土井「すん……あ、それは丁重にお断りしました」

それは断るのか。

すると土井先生は涙を拭き拭き、
何か思い出したようだ。

土井「あ、利吉くん」

利吉「はい？」

土井「Aくん、今いなくてね。
　ついさっき小松田くんとお遣いに出て」

いないのか………って小松田くんと？

何か、嫌な予感。