【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ37)

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利吉side

『んー、美味しいぃ』

Aは私の膝の上で、土産の団子を頬張っている。

利吉「危なかった……」

はぁ、と息を吐くと、
Aがくるりと首だけ振り返った。

『何がですか？』

利吉「ううん、大丈夫」

勢いのままにAを部屋に連れて来て、
勢いのままに抱いてしまうところだった。

だって、Aが可愛くて可愛くて………
なに？あの、"ふふっ、可愛い"って！！

可愛いのは私じゃない、Aだ。

簡単に私の理性を掻っ攫っていくのだから。

『利吉さん、これから仕事でしょ？』

利吉「うん、もっと一緒にいたいんだけれど……
　ごめん、なかなか時間が取れなくて」

今日だって、仕事の前にどうしても
Aの顔が見たくて会いに来た。

ところがとんだハプニング。

初という娘に圧倒されて、
その貴重な時間が過ぎてしまったのだけれど。

『私は大丈夫です。
　あ、ひとつだけ……お願い聞いて？』

利吉「うん、どうしたの」

またこのお団子食べたい！とか
可愛いこと言うのかなぁ……とか思ったら

『ぎゅってして、口付けしてほしい……』

あぁ、神様仏様。

今日の仕事、サボっていいですか？

◆◇

利吉「忍務完了……っと」

とある城の忍務を終わらせ、塀から飛び降りた。

一応言っておくけれど、
サボらなかったし集中して忍務を遂行した。

………さて、話は少しさかのぼって
私がAのお願いにどう答えたのか。

『ぎゅってして、口付けしてほしい……』

利吉「……おいで」

あぐらを崩し、Aの身体をこちらに向け
自分の身体に跨らせた。

鼻が触れるほどの距離で見つめ合えば、
Aの唇を食むように口付けた。

『んっ……』

利吉「……は」

細い身体を抱きしめると、
Aの腕が自分の背中に回される。

そのままなだれ込みたい欲と戦うのは辛かった。

『……いってらっしゃい』

利吉「いってきます」

幸せだった。ただ、愛しくて。

ーその時の私は知らない。

大切で愛しくて仕方のないAを、
また泣かせてしまうことになるなんて。