【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ36)

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you side

ふたりで食堂にきたけれど、
利吉さんは機嫌がよろしくない。

どうやら理由は
お初ちゃんの、利吉さんへのアピール。

『美味しかったですね、
　シソの葉はお初ちゃんのお家のですよ』

利吉「うん」

今日の夕食は、
お初ちゃんのシソの葉を使った混ぜご飯。

予想通り、とっても美味しかった。
美味しいお初ちゃんのシソの葉と、
おばちゃんの料理の腕のお陰。有難い。

……だけど、利吉さんは拗ねているよう。

利吉「Aに会いにきたのに」

『ごめんなさい。少し仕事が残っていたから』

お初ちゃんと話しているみたいだし、と
私は残りの仕事を片付けるために、
その場を離れたのだ。

利吉「Aがいなくなってからが大変だったんだ」

ー名前は？
ー職業は？
ー忍術学園には何をしに？

利吉「そんな面倒な質問の上に、」

ー運命だと思いませんか？
ー運命の人がこんなに格好良いなんて。

ーそれでね、私は恋人が欲しいんです！

利吉「運命、運命って」

『お初ちゃんは"恋人が欲しい"が、口癖なんですよ』

その相手が利吉さんだなんて……
私としてはちょっと複雑だけれど

利吉さんが忍者なこともあって
その恋人の私に危害が及ばないようにと、
恋仲であることは無闇に言わないようにしている。

だからお初ちゃんにも、言わないまま。

『お初ちゃんは、利吉さんを振り向かせるって
　言っていたけれど』

利吉「恋に恋をしているんだよ、あの子は」

利吉さんはお箸を置き、お茶をぐいっと飲み干した。

利吉「あんな簡単に言うけどさ、
　私がAを振り向かせるのに
　どれだけ頑張ったと……ぁ、」

『……利吉さん？』

そこまで言って固まってしまった利吉さん。

利吉「いや……頑張ってたとか、
　格好悪いんだけどさ、」

『どうして？嬉しい。……ふふっ、可愛い』

思わず言ってしまったらしい利吉さんの、
頬を染める姿が愛しい。

机の上で、利吉さんの大きな手の上に
自分の手を重ねた。

利吉「駄目、Aの部屋に行こう」