【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ32)

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利吉side

『違う、私が悪いの…ごめんなさい』

Aの背中を、優しく撫でる。

『利吉さん、どうか嫌いにならないで…』

次々に溢れる涙が頬を濡らし、
懇願するように何度も、嫌いにならないで、と。

ぎゅっと胸が締め付けられて堪らなくて、
強く抱きしめる。

利吉「嫌いになんてなるわけないだろう？
　 ……はい、鼻チンして」

『ちーん！……ほんと？』

手ぬぐいで涙と鼻水を拭いてあげると
Aは落ち着いたようで、ほっと息を吐いた。

利吉「勿論。あいつにもだけど、
　何も出来なかった自分に腹が立つだけ」

『利吉さんは助けてくれた……ありがとう』

Aはふるふると首を振って、私の頬を撫でた。

利吉「……あ、そうだ」

Aの唇を、消毒しなくちゃ。

利吉「あんな口付け、消してあげる……」

あごを持ち上げて、ゆっくりと口付ける。

ぷに、として気持ち良い感触と

『ぁ……』

隙間から漏れる、Aの熱い吐息。

利吉「ん、は……」

『もっと、』

角度を変えて、何度もAの唇を奪うと
白い肌が上気して桃色に染まる。

……ちょっと、これはまずい。

利吉「A……我慢、できなくなる」

『……利吉さんでいっぱいにして？』

熱を帯びた瞳、艶々と光る唇。

利吉「今日のことは全部、忘れさせてあげる」

◆◇

『……利吉さん？』

利吉「あ、あぁ」

お団子貰っちゃいますよ、と
Aはあんみつの最後の一口を口に運んだ。

『……ぼうっとしちゃって』

利吉「うん……先日のAは
　大胆だったなぁって思い出してた。
　 "利吉さんでいっぱいにして"だなんて」

『ぶっ！！ちょ…！」

Aは慌てて私の口を塞ごうとしたけれど、
私に華麗にかわされる。

利吉「ほらほら、口元に黒蜜付いてるよ」

口元に付いた黒蜜を手で拭ってぺろりと舐めると、
Aは頬を真っ赤に染める。

『自分で拭けます！』

利吉「嫌だよ。こういうときのAが可愛くて好きなん
　だから……あ、大胆な夜のAも好きだよ？」

『い、いじわる……！』

利吉「あはは」

更に真っ赤になって机に突っ伏すAの髪を撫でて、
私は席を立つ。

利吉「さて、それじゃぁ小袖を仕立てに行こう。
　良い柄があるといいね」

可愛すぎると心配だけれど。