【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ4)

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利吉side

やらかした。

はぁあ……と、
もう何度目かわからない長めの溜め息を吐く。

Aはどこへ行ったんだろう。

いつもなら絶対追いかけて捕まえるのに。

ー来ないで下さい！ー

あんな風なAは初めてで、
追いかける事ができなかった。

それにしてもなぜ、あんな事を言ってしまったのか。

ー私に内緒で、
　手紙の相手に会いに行くつもりだった？ー

あの時のAの顔といったら。
驚きと、信じられないと言いたげな。

本当は今頃、Aと学園祭を回って……
なのに、心にもない事を言って傷付けて
離れ離れじゃないか。

北石「あ、見つけた！」

目を閉じようとしたら、聞き覚えのある声。

利吉「北石……」

ずんずんとこちらに向かって歩いてくる北石は、
私の目の前まで来ると腰に手を当てて言った。

北石「私の大切な友だちを、泣かせてくれたわね」

利吉「……Aか」

そうよ、と北石は頷いた。

北石「冷静沈着な貴方が、そんな事言うなんて。
　思ってもいないくせに」

全くだよ。
さっきまでいつもの調子だったのに。

北石「あーんなにベタ惚れで、甘々で可愛がって、
　溺愛してるくせに」

利吉「ちょ、その言い方やめろ。
　 ………でもそうだよ、だからだ」

今日、思い知ったのだ。

改めてAが可愛くて
慕われてて可愛がられていて

それは喜ばしいことなんだけれど。

自分がどれだけ愛していても

傍にいなければ、いつ誰に攫われても
おかしくないじゃないか。

どうして言ってくれなかったんだって
内緒にしておくつもりだったんだって

不安になって、焦ってしまっていた。

北石「よく言うわよ。利吉さんだって、
　 Aさんに言えない事たくさんあるでしょ？
　勿論、仕事だから言えないわけだけど」

利吉「あぁ、そうだよ」

私とAなら大丈夫だと強く思っていたけれど、
勿論今だってそう思うけれど

少しだけ、弱気になってしまったのだ。

それに。

利吉「それに、今日のAは特に可愛すぎるんだ」

北石「わかるわ！……って、やけに素直ね」

北石はおもしろそうに笑った。