【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ28)

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you side

『こ、これは』

旦那様に風呂を済ませてこいと言われ、
断ったのだけれど。

女中さんたちにあれよあれよと
連れていかれてしまった。

部屋に戻ってみると、
まだ旦那様は戻ってきていないらしい。

そして、目の前の光景といえば。

ぴっちりと横並びに敷かれた、布団二組。

『い、一緒に寝るの……？』

主人「そうだよ、君と俺がね」

独り言のつもりだったのに、
振り向くと旦那様が立っていた。

主人「さすがに今日から一緒の布団で、ってねぇ。
　 ……俺は構わないんだけれど」

まぁ座りなよ、なんて言われて
少しだけ距離を取って布団の上に座る。

……さすが大きなお屋敷なだけあって、
布団はふかふかで気持ち良い。

『あ、あの』

主人「んー？」

旦那様は、水差しに入った水をくいっと飲んだ。

『……どうして、忍者隊を？』

すぐには逃げられないし、
どうせなら色々聞いてみることにした。

主人「あぁ、城でもないのに面白いだろう？
　なんか格好いいじゃないか、忍者隊って」

『か、格好いい……ですけど』

主人「やっぱり俺はまだまだ若造だし、
　一代で築いたから、老舗でも何でもないし。
　そこらの屋敷の主人たちには馬鹿にもされる」

私と変わらない年齢で、
こんなに大きなお屋敷や使用人を抱えて……
余程の資質能力、天賦の才を持っているのだと思う。

主人「それなら、そこらのじじい共が
　びっくりするようなことしてやろうって。
　だから側近は強ぇ奴。女中は美人ばっかりで」

そして、破天荒。

『なるほど……』

主人「だけどさ、」

ふいに旦那様が、
乾いたばかりの私の髪を一房掴み、さらさらと流す。

主人「君は女中でなんていさせない。
　嫁にすると決めたんだ」

旦那様の手から掴んだ髪が全て流れ落ち、
その手は私の手首を掴んだかと思うと

主人「本当に……可愛い子だね」

旦那様は、私に口付けた。