25 ページ27
利吉side
Aを落ち着かせ、
自分もふぅ、っと息を吐く。
利吉「……さぁ、戻ろう」
『はい』
最後にAの頭を撫でた。
Aの前を歩いて、
何事もなかったように主人の部屋へ戻る。
主人「おかえり！さぁ、夕食にしよう」
美味しそうだなぁ！と楽しそうな主人は、
Aの手を引いて、隣に座らせた。
あぁ、くそ。
苛々を抑えるので精一杯だ。
女中「それでは、失礼します」
利吉「………失礼します」
Aを主人……いや、
こいつとふたりきりにするなんて、嫌だ。
だって、何かAに手を出すのは明確なのだから。
女中「さっ、いくわよ利子ちゃん」
利吉「……はい」
半ば引きずられるように、
私は主人の部屋を後にした。
◆◇
さて、城とは違って見張りなどは手薄なようだ。
忍者隊の試験会場の傍……あ、来た来た。
試験に見事落ちて、
しょんぼりと歩いてくる小松田くんを小声で呼ぶ。
利吉「おい、こっちだ小松田くん」
小松田「……へぇ？お姉さん、
僕を知っているんですか？」
利吉「お姉さんじゃない、私だ」
髪を手で引っ詰めて見せると、
理解したのか小松田くんはパァッと明るい表情で
小松田「あ！利吉さぁ……！」
利吉「声がでかいんだよ！阿保！」
バカでかい声で言うものだから、
頭をぺしんと叩いた。
利吉「いいか？私もAも、
訳あって今この屋敷の中にいる。
Aは私が必ず連れて帰るから、
小松田くんは忍術学園に戻ってこの手紙を
学園長先生に渡してくれ」
小松田「わかりました！
でも僕、帰り道がさっぱりで……えへへ」
……あぁ、不安だ。しかし、頼むしかない。
利吉「そうだろうと思って、ほら。
忍術学園までの地図だ」
小松田「わぁ！ありがとうございます！」
駆けていく小松田くんを見送って。
さて、私はAを助けにいこう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな
| 作成日時：2021年6月5日 22時
