【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ25)

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you side

背中を押されて踏み入れたのは、
広い部屋だった。

男「旦那様、先程お話しした女です」

側近の男性はそれだけ言って、
ぴしゃりと障子を閉めてしまった。

部屋の奥には男性が座っていて、
私に向かって手招きをしている。

「気分が悪かったようだけど、大丈夫かい？
　ごめん、少しこちらへ来てくれる？」

『あ、はい』

傍に寄って腰を下ろして驚いた。

だって、そこにいるのは
とても若くて整った顔の男性だったから。

主人「あはは、"お前がこの屋敷の主人？"って
　顔をしているね」

『いえっ！そ、そういうわけじゃ……』

おもしろそうに笑う、旦那様と呼ばれた男性。

主人「まぁでもそうだよね。普通ってこうさ、
　オジサンがどーんと構えてる感じだよね」

まさにそのとおりで、
もっと年上の男性ばかりを想像していた。

こんなに若いとは……
私とそんなに年齢も違わないだろう。

主人「ところで君は、
　うちの塀の前にいたんだってね？」

『……そ、そうです。こちらの忍者隊の面接を
　受けに来た者の付き添いで』

そういえば小松田くんはどうしただろう。
とっくに面接は終わっている時間だと思うけれど。

主人「そうか。それで、女中になれって
　連れてこられたんだ」

……なんだかよくわからない人だけれど、
無理なんですって言ってみようか。

側近の男性や利吉さんは、
気に入られると専属に……なんて言っていたけれど。

『……そのお話なんですが……
　私、女中にはなれません』

目を見てそう言うと、
旦那様は私の肩をぐっと掴んだ。

『あのっ……旦那様、』

主人「んー、駄目。
　俺、君のこと気に入っちゃったから」

肩を掴んだまま、旦那様は首を横に倒して
にっこり微笑む。

『助けて頂いて、ありがとうございました！
　だけど、女中には……』

主人「うんうん、女中になんてならなくて良いよ。
　俺の専属……ううん、嫁になってもらうから」

………は？

利吉さん、利吉さん。

私、結構ピンチかも。