【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ22)

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you side

利吉「……む。
　 ……だから、Aはそれほど魅力的ってこと。
　きっと主人もAを傍に置こうとするぞ。
　専属になると、部屋までも一緒になる」

背中がぞわっとした。
そんなの嫌、そんなの怖い。

利吉「断ると言っても、ここに足を踏み入れた以上、
　帰してはもらえないだろうから……
　逃げるしかない」

『逃げ……』

逃げるといったって……どうすれば……
自慢じゃないけれど私の身体能力、
自分でもがっかりしちゃうくらいなんだけどな。

利吉「大丈夫。私もそろそろ帰るつもりだったから、
　一緒に出よう」

『……そういえば利吉さんはどうしてここに？』

利吉「あぁ、仕事でね。
　城でもないのに忍者隊を作ったり、
　妙な動きがあるからと調査していたんだ」

私の頬を包んだままで、
利吉さんは話し続けるんだけれど。

『……そ、そうだった、んですね』

さら、と流れる髪がちらちらと当たって
くすぐったくて、艶のある唇に目がいってしまう。

利吉「……A？」

こんなときなのに。
こんなことしてる場合じゃないのに。

会いたかった。
会いたかったから。

利吉「ん」

私は、つんと背伸びをして
吸い寄せられるように

利吉さんの唇に、自分のそれを重ねた。

『………ごめんなさい……、利吉さん？』

緊急事態。

利吉さんが動かなくなった。