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you side
ゆらゆらと揺れる、利吉さんの着物。
利吉「A」
『はい？』
部屋から外を眺めていた利吉さんは、
くるりとこちらを向いた。
利吉「こっちにおいで」
利吉さんは両腕を広げる。その顔はとても穏やかで。
『なんだか、ご機嫌ですね』
利吉「だって、Aとゆっくり過ごせるんだから……
ほら、こっちにおいで」
ね？と笑顔で言われたら、
私の身体は自然と利吉さんの傍へ。
利吉「いらっしゃい」
抱きすくめられるかと思ったら、
利吉さんは私の両腕を掴んで、首筋に顔を埋めた。
『ひゃっ……』
思わず身体がびくっと跳ねる。
利吉さんはそのまま、すうっと大きく息を吸った。
利吉「……はぁ、落ち着く」
『落ち着く？』
利吉「うん……Aの匂い」
……匂いとか言われると、妙に恥ずかしくなる。
汗臭くないかな、とか色々考えちゃう。
何度か深呼吸をして満足したのか、
利吉さんは顔を上げた。
利吉「どうしてこんなに、
甘い匂いがするんだろうね」
『し、知りません』
至近距離で見つめられるのは恥ずかしい。
私、きっと今顔真っ赤だし。
利吉「だって……ほら」
『んっ……』
ちゅ、と合わさる唇。
利吉「……唇だって、こんなに甘い」
離れた私の唇をぺろりと舐めて、
利吉さんは愛しそうに頬を撫でた。
なんだか胸が締め付けられるような感覚になって、
利吉さんが愛しくて堪らない。
私は利吉さんに、ぎゅうっと抱きついた。
『利吉さんの匂い、好きです』
利吉「本当？」
『うん……ずっと包まれていたい…』
いつも一緒にいると、抱きしめられると落ち着くの。
利吉「じゃぁ、こうしようか」
『ひぃっ！』
利吉さんはにこにこして
私の小袖の襟を両側にぐいっと下げた。
『なっ、何してるんです！』
はだけた胸元を慌てて隠そうとするけれど、
素早さで勝てるわけもなく、両手は捕らえられた。
利吉「全部脱いで、密着したら良いと思わない？」
ずっと包み込んでてあげるよ、なんて
ご機嫌で言うんだから。
利吉「それに、続きは後でって言っただろう？」
『！あっ……やぁんっ……』
胸元に吸い付く唇。
私は愛しい匂いに包まれて、
愛しい利吉さんと愛しい時間を過ごした。
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作者名：はな
| 作成日時：2021年6月5日 22時
