【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ15)

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you side
　

出茂「僕と行こうよ、Aさん！」

『えっ……！』

鹿之介さんは私の手を引いて、川の中へ入っていく。

利吉「あ、こら！！」

後ろで、利吉さんの声が聞こえた。

『し、鹿之介さんっ』

手は引っ張られているから付いていくしかないし、
だけど、どんどん川の中へ進んでいくのも怖い。

出茂「冷たくて気持ち良……うわぁっ」

そのとき、鹿之介さんが川の中で足を滑らせた。

もちろん私も道連れなわけで、
それに引っ張られて身体がぐらりと傾く。

……転ぶ！！

その瞬間、反対の腕を引かれ、

利吉「Aっ……！」

利吉さんが鹿之介さんに背を向け、
庇うように私を抱きしめた。

ばしゃん！！

水が跳ねる大きな音。

鹿之介さんの叫び声。

出茂「ぶはっ……！」

鹿之介さんが水の中から立ち上がると、
利吉さんは私を抱きしめる腕を緩めた。

利吉「A……大丈夫だった？」

『利吉さん、ありが………ひぃ！』

利吉さんを見て驚いた。

『び、びしょ濡れ！』

身体は背中側を中心に
それから、髪からもぽたぽた水が滴っている。

私を庇ったから、
利吉さんがびしょ濡れになってしまった。

『ご、ごめんなさい、私のせいで』

どんくさいとかって叱られるかと思ったけれど、
利吉さんは優しい笑顔で言った。

利吉「ううん、Aが無事なら良いんだ」

その笑顔、水も滴る良い……あれ？
私、これ前にも思わなかった？

そんなことを思っていると、
利吉さんの背後から鹿之介さんの声が聞こえた。

出茂「ごっ、ごめんAさん……っ！
　り、利吉さ…んも、すまない」

『あ……』

何か返事しようとしたけれど、
利吉さんはそれを制して
鹿之介さんの方に振り向いた。

利吉「何してるんだ！Aが溺れでもしたら、
　どうするつもりだ！！」

出茂「す、少し転んだだけだろう？！」

そんなに怒ることないだろうと、
鹿之介さんは利吉さんに向かって叫ぶ。

利吉「ふざけるな！！」

利吉さんは、わなわなと怒りに身を震わせた。