【忍たま】利吉さんはいじわるだ。④【山田利吉】 (ページ2)

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you side

怒ってる。

利吉さん、怒ってる。

利吉「駄目、逃げられないよ」

えぇ、そうでしょうね。

ついうっかり、板戸にもたれて寝てしまった。
それで起きてみればどうだ。

私、手紙を床にばら撒いてしまって。
そのひとつが利吉さんの手の中にあって。

『……ご、ごめんなさい』

ーばれちゃったー

手紙の内容は勿論のこと、
私の言葉に腹が立ったのだと思う。

至近距離に顔があるのに、

手紙を隠そうとしていた事と
自分が吐いてしまった言葉に

がっかりされるのでは
嫌われてしまうのでは

そんな思いが渦巻いて、
利吉さんの目を見ることができない。

利吉「どうして私の目を見ないんだ？」

『……それは、』

掴まれた腕。
利吉さんの手には力が込められている。

利吉「私に内緒で、
　手紙の相手に会いに行くつもりだった？」

『違っ……！！』

なんて事を言うの。

思わず、逸らしていた視線を利吉さんに向けた。

利吉「やっとこっちを見た……で、
　そう思っていたのに、"ばれちゃった"って？」

なんて事を言うの。

私がそんな事をすると思ってるの？

私は、首をがくんと垂らした。

利吉「A？」

何なの。

声が震えるし、小さくしか出ない。

『……私は、利吉さんが好きです』

利吉「え？」

『他の人を見る気なんてないのに、
　利吉さんだけなのに』

今までの私の気持ち、何も伝わってなかったの？

沸々と、奥底から込み上げてくる。

『だけどそう言われるなら、』

呆気にとられていた利吉さんの隙をついて、
腕を振り解いて立ち上がる。

『会いに行ってきます。お手紙をくれた方々に』

そう言って、私は駆け出す。

利吉「あっ、A！」

『来ないで下さい！』

怒った。

私だって怒るんだから。

『はぁっ……』

走って走って、
体力のない私はやっとのこと中庭へ出てきた。

勿論、私が悪かったと思う。

だけどあんな言い方……
私の事、信用も信頼もしていないんだ。

じゃなきゃ、あんな………

『あんなの、いじわるじゃない。

　ただの、意地悪よ』

あんな意地悪、言わない。