【忍たま】彼女を見つけた話。２【土井半助】 (ページ27)

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you side

頬が、熱い。

『い、今の……聞いて……』

上半身を起こして、
仔猫が飛び出していった先を見ると
土井先生が立っている。

ぴくりともせず
ただその場に立って、私を見つめている。

土井「聞いて……しまいました」

ぽつりと呟き、土井先生はゆっくりと
部屋の中へ足を進める。

そして私の前に腰を下ろした。

土井「……あの、」

『好きです。土井先生』

聞かれてたのなら、もう良い。

それなら、伝えたい。

どうしたら良いのかわからない
ただ貴方に、"恋をしている"好きって気持ち。

土井「Aさん、私は……」

こんな気持ち知らなかった。

惨めに生きてきた自分に
死ぬ勇気さえない自分に

こんな、こんな気持ちが芽生えるなんて。

生きる勇気をくれた貴方に
生きる意味をくれた貴方に

必然であるかのように、恋をした。

土井「……私は、いつでもAさんの傍にいて
　守りたいって、そう思っていました」

目の前の土井先生は口を開く。

だけどそれは、

私にとっては残酷なもので。

土井「やっぱり保護者のような感覚、というか」

そこまで俯いていた土井先生が、顔を上げた。

土井「甘やかしてあげたいし、
　なんでもしてあげたいし……そして……
　触れたいと思うのも事実で」

『……だから、口付けたの？』

声が、身体が、震える。
自分を抑えるように、ぐっと拳を握った。

土井「Aさ……」

『私がそういう仕事の仕方をしてきたから
　口付けだって抱きしめるのだって、
　簡単にできると思ったの？
　

　……ほら、やっぱり私を汚い女だと思ってる』

土井先生は半ば呆然として、私を見ている。

自分の口から出る言葉が止められない。

そんなことないって、土井先生がそんなことを思って
私に触れるわけないって、わかっているのに。

だけど私と同じ、恋する好きじゃないのだ。

ぐっと歯を食いしばるけれど、
涙で視界がどんどんぼやけていく。

土井「違う、違うよ」

『土井先生が保護者なら、
　私は早く一人立ちしなくちゃいけないですね』

ありがとう、さようなら。

短くそう言って、土井先生の顔も見ずに
私は部屋を後にした。

私を呼ぶ声がしたけれど、
向き合う勇気はなかった。