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土井side



利吉「失礼します」



お茶を飲んで一息ついていると
すっと障子が開いた。




利吉「土井先生、Aに何かしましたか?」




いつものようにAに会いに来たという利吉くんが、私をじっと見つめて問うた。


最近父上に会いに来たと言わないから、
山田先生が拗ねているんだよ、利吉くん。


いや、それより。




土井「なっ、何かってなに」




すると利吉くんはむっとして私を睨む。




利吉「せっかくAに会いにきたのに。
  Aったら土井先生の話ばっかり」



土井「ぶっ……げほっごほ」




思わず湯呑みを置いて咳き込んだ。
ちら、と利吉くんに視線を向けると、
冷ややかな視線が突き刺さる。




利吉「怪しい……やっぱりAに手を……」



土井「ないないっ、手ぬぐいをもらって
抱きしめてしまって……あ、」




言わなくて良いことを
うっかり言ってしまったようだ。




利吉「手ぬぐいをもらった?抱きしめたぁ?」




利吉くんの背後に怒りの炎が見える。




利吉「それ、手を出しているって言うんですけど」




ぐぐっと利吉くんに詰め寄られ、
壁際に追い込まれる。




利吉「そうやってAに手を出して、
  どうするつもりなんです」



土井「ど、どうって……」


ただ、いつでも自分が彼女の傍にいて守りたいと、そう思うのだけれど。

ただ、この感情は……





利吉「自分の気持ちの正体を知らないまま
  Aを誰かに取られても知りませんからね」




自分の気持ちの正体。
それって、どういう……




利吉くんに問いかけようとしたところで、
Aさんが顔を覗かせた。




『利吉くん?あ、いた』



利吉「A!探しにきてくれたの?」




利吉くんはつい今までの怒りのオーラはどこへやら。
壁際に追い込んだ私からパッと離れて、
Aさんの元へ。




『うん……急に出ていったから』



利吉「ごめん。じゃぁお詫びに、
町の甘味処へ行こうよ」




Aさんの手を引いて部屋から出ようとする利吉くんを制して、後ろ手で障子を勢いよく閉めた。




利吉「何です、土井先生」



土井「私が淹れてきてあげるから、
  ここでお茶しなさい」




利吉くんはとても嫌そうな顔をしたけれど、
Aさんは嬉しそうに微笑んだ。



利吉くんとAさん
ふたりきりにさせたくない気持ちが、
色濃くなっている気がする。

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設定タグ:忍たま , 土井先生 , 土井半助   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時

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