【忍たま】私に、確かに刻んで【善法寺伊作】

お皿は洗います ページ28

伊作side



土間では、Aちゃんが夕食を作ってくれている。



一緒に作ろうと言ったんだけれど
せっかく留三郎が来ているんだし、ゆっくりしてって言ってくれたので甘えることにした。




せめて洗い物は僕がしよう、うん。







Aちゃんの後ろ姿を見て、留三郎は小声で言った。




食満「伊作、Aちゃんと結婚……しないのか？」



伊作「けっ！！……こん…かぁ、うん」




思わず大きな声が出てしまい、慌てて小声に戻す。




伊作「勿論、考えてはいるんどけどね」



食満「だって、
　 卒業してから一緒に住んでいるんだろ？」




そうなのだ。


勿論、Aちゃんと結婚したいし
Aちゃんしか考えられない。




言い訳にはなるけれど、卒業してからは
生活や、自分の忍者・薬師としての基盤を作るのに
必死だった。


それでもAちゃんはいつでも傍にいてくれて、
離れているときも待っていてくれて。



帰ってくれば、おかえり、と迎えてくれて。






伊作「結婚の申し込み……しなくちゃなぁ」



食満「そうだそうだ。じゃないと、
誰かにAちゃんを取られてしまうぞ？」



伊作「そっ、それは絶対に駄目！」





誰かに取られるなんて！
留三郎の言葉に慌てていると、
Aちゃんが土間から板間に上がってきた。




『何が駄目なの？
……はい、夕食ができたから食べよう？』




伊作「う、うん！ありがとう。いただきます」




僕の好物ばかりの夕食に、Aちゃんの愛を感じて。
最後の一口まで大切に食べた。





◆◇


食満「Aちゃん、ごちそうさま。
　 遅くまですまない」



『とんでもない、また来てね』



伊作「そこまで見送るよ、留三郎 。
　 Aちゃん、お皿はそのまま置いといてね」




Aちゃんの、はーいという返事を確認して、
僕は留三郎と外に出た。




食満「ありがとうな。会えて良かったよ」



伊作「僕こそありがとう。でさ、留三郎……」






食満「わかった！任しておけ」




留三郎はぐっと親指を立てて、闇夜に消えていった。

寂しい気持ち→←新作

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す