Pretender３

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だいが見てると思うと、
いつもの何倍も緊張してまう。

隣の濱ちゃんが、
ぽんっと、肩を叩いてくれた。


「神ちゃん、リラックスな。
いつも通りやればええから。
神ちゃんは最高や」


「ありがと、濱ちゃん。
濱ちゃんも最高やで！」


濱ちゃんが照れ笑いしてる。


ほんまは、何回ありがとう言うても足りへん。

そやけど、胸の中で、ありがとうって呟くだけ。


イントロが流れ始めた。


それに合わせて、
ステージへと。


観客席のみんなの歓声と拍手。

会場が一体になってく感覚。


やから、ダンスは最高やねん。


だいの姿も見える。

だいらしく、のりのりでさ、
楽しんでくれてるのが伝わってきて、嬉しい。


見に来てくれたお客さんみんなに、
感動してもらえるような完璧なパフォーマンスをしたい。

みんなが元気になってくれたらええな。


そう願って、踊ってる。










大歓声の中、ステージを降りた。

帰り道も、だいの方が、興奮冷めへんみたいで。


家に向かって、二人で歩きながら。


「とものダンスは何べん見ても感動する！」


「鳥肌たったもん、最後のものすんごいアクロバット」


「とも、空に飛んでくんちゃうか思たわ」


「くるくるん回って、目ぇ回らへんの？」


一人、怒涛のように喋ってる。


ま、普段から、だいはお喋りやけどな。


「カッコ良かったなあ。
ともが頑張ってきた成果やな。
お客さん、みんな、ともに魅了されとった」


「あんま褒めると照れるからやめてや」


「この感動を伝えたいねんて！」


「ありがと」


クリスマスのお泊まりの件、どうなったんやろ。

だい、その話に全く触れへん。


俺、携帯の画面、
見てない事なっとるし聞かれへんやん。


クリスマスこそ、
覚悟決めたいなって思ってんのにな・・・


自分から勇気出さな、あかんよな。


いつも待ってるだけじゃ。


変わって行かなあかんとおもうねん。


「だい。あのさ・・・」


「ん？どうした？」


「あの・・・」


「どうしてんて？」


だいの目が優しいから。


「クリスマス、一緒におりたいな・・・」


ちゃんと、音になった・・・

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