Pretender３

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「・・・うん。
俺も、昔みたいに、だいって呼ぶ。
緊張するけど」


「はよ呼んでや」


「え、俺から？」


「うん。はよ呼んで？」


「・・・だ、だ、だい」


「なんか、ちゃう」


「えー、しげ、厳しい」


「とも。もっかい」


何気にともって呼んでもうたし。

俺、ナイス！


「だい」


「ん？なに？とも」


「呼んだだけやもん。
しげが呼んで言うたから」



「あ、また、しげに戻ってる！」


「しゃあないやん。
しげ呼びが慣れてるもん」


「練習せなあかんな」


ふふって目配せして、笑い合う。


「だい、だい、だい、」


「何回言うねん」


「だい、・・・だい、好き」


ともが、ちっちゃな声で呟いた瞬間、
心臓撃ち抜かれた。


「・・・もお。
俺、やられた。
何その、可愛ええんは！」


ともは、ちょっとしんみりした顔してて。


「・・・俺な、俺。
しげが好きって言うてくれてから。
ずっと、しげにばっかり求めとってん。
もっと、強引になって、
さらってくれたらええのに、って。
ずっと、甘やかして欲しいて。
自分はちっとも勇気ないくせに。
全然素直になられへんかって。
俺、ずるいよな。
ごめん・・・」


なんて言い出した。
　

「とも・・・
ほんま、ともは真面目さんやねんから。
それは男の俺が考えなあかんかった事やから。
ともはなんも謝らんでええの！
ごめんな？不安にさせてて」


「俺も男やもん」


「ともは男の子やけど、俺の彼女やもん。
俺がリードせなあかんねんて」


「前から思てたけどさ、俺、彼女側なん？」


「そらそうやろ？
ともが言うてんやん。
俺にさらって欲しいて」


「・・・あれは、なんかさ、その、」


「とも。
素直でおってな？」


とものさらさらの髪を、くしゃっと撫でる。

触ってみたくて仕方なかってん。


「もー、だい！ぐしゃぐしゃなる！」


「ごめんごめん、許してや」


言うても、まだまだ触りたくて。

手が勝手に伸びる。


やらかい髪、わしゃわしゃ遊んでたら。


「もお！だいのあほ！」


ともが膨れて。

その顔があんまりにも可愛ええから。


「とも、大好き」


自然と言葉になって。

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