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「慧くんはね、うちに引き取られた子……っていうのは、敦也くんもなんとなくは察しているんだろうけど……」
慧さんとある程度親しくなって、その度に、気持ちはどんどん膨らんでいった。
そんなある日、昔からいる保母さんに、呼び止められた。
『あなたなら、』そう呟いて、覚悟を決めたような顔をした保母さんは、俺を、子どもたちが寄り付かない人気のない部屋へと連れていった。
「親が預けた、じゃなくて、うちが引き取った……この意味はわかる?」
「うん。親が……虐 待してたり、」
「そう。
でも、少しだけ、特殊でね。」
保母さんがするりと自分の膝を撫でる。
これは、この人が、言いにくい、もしくはあまり言いたくない、察されたくないことを言おうとしている時の癖。
つまり、これから話されることは、それだけ重いということ。
「慧くんは、小さい頃、お母さんを亡くしたの。すこし、ほんのすこーし、記憶が残ってるくらいの時に。
それからは、お父さんが男手一つで育てていたのだけれど、」
ここまでは、なんらおかしくない。
離婚家庭なんてそんなもの、今時珍しくないし。
「……慧くんって、可愛いでしょう?
ふわふわしてて、力も普通の男の人に比べたら全然なくて、華奢で……お母さんにね、よく似てるの。
……だから、なのかしらねぇ。
お父さん、にね。
初めて手を出されたのは……小学生の時。2年堪えて、それが発覚して、ここに来たのね。」
息が、
止まってしまうかと、思った。
子どもたちと触れ合って、遊んで、微笑んで。
その幸せのかたまりみたいな風景を見て、俺は、慧さんは幸せな家族を持ってるんだろうな、って、そう思ってしまっていたんだ。
「それだけならまだ、……まだって言っても、これが適切な言い方かわからないけど、よかったの。
でも……高校生の時に、慧くんの高校から電話がかかってきてね。とりあえず来いってすごい声で言われるものだから、行ったら、売 春してた、って。」
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