【短編集】夢を見た (ページ29)

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聞き覚えのある声にビクビクしながら顔をあげて目を開けると私の大好きなサンくんが目の前にいて声にならない声が溢れて暴れそうになる

「え？はぇ？え？」

「サンドキ…は？」

『サンドキが変身したって言ったら信じる？』

『Aちゃんのサンドキから助けて〜！ってSOSが聞こえたんだ』

言ってることの少しも理解できないけどサンくんが目の前にいる。
サンドキの親というかモデルになるアイドルのサンくんを私は愛してやまないのだ。

「サンドキに話すのが日課で…」

『うふふ、うん。全部聞いてたよ。職場で大事な書類シュレッダーにかけちゃったり、一昨日はリビングでお菓子をぶちまけて大変だったり』

『会社で誰も電話とってくれなくて毎回自分が電話にでてる話とかね…』

『Aちゃんいつも頑張ってて偉いね〜』

サンくんによしよしと頭を撫でられたら不思議と涙がぽたぽたと溢れてきて

最近つらいことばっかりで誰かに吐き出したいのに会社の人には言えないし、友人には中々会えなくて親にも心配かけられなくてサンドキに甘えてばかりでこうして人の優しさに触れるのは久しぶりで安心してしまった

『大丈夫だよ。Aちゃんは頑張ってるから』

「ごめんなさい…」

『謝らないで。サンドキがAちゃんの支えになってて良かった』

「いつもいつもサンくんとサンドキに支えられてます」

『僕もAちゃんに支えられてるよ。』

『溜め込まないで無理しないで弱音吐いていいんだよ』
サンくんの言葉に涙がまた出てきそうになる

「サンくん…ありがとう」

『まだ朝まで時間あるよ。ゆっくり寝よう』

「はい」

『ん』
サンくんは頬を差し出してくる

「？」

『いつものおやすみのチューは？』

「え？」

『いつもサンドキにしてるじゃん』

「あれは、サンドキだからであってサンくんになんて…」

『サンドキにはできて僕にはできないの？？』

「だって……」

『まあ、いいや。おやすみなさい』

触れたかわからないくらい頬にサンくんの唇が掠めた気がした

一気に体が硬直してしまい寝るどころじゃなかった。

それでも眠気に負けていつのまにか寝て
起きたらサンくんは居なくて

やっぱり夢かーと一安心した。

寝る前は私の腕の中にいたはずサンドキが横にコロンと寝ていた。

その姿を見てまた夢か現実かわからなくて混乱したのであった。

お助けニャン