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瞳(3) ページ23

「何が……”良かった“んですか?」

「え?」

明らかに熱が籠もっている瞳に
真っ直ぐととらえられ、思わず目を逸らしてしまう。

“良かった”?

確かに今、私は“良かった”と口にした。

しかし、それは勝手に口からこぼれ落ちてしまったようなもので意味を聞かれても…

「…“良かった”のはなんで?」

何も答えられないでいると再び同じ問いかけをされる。

「え、っと…」

沈黙に耐えきれず、とりあえず思ったことを言ってみることにした。

「桐嶋くんに…彼女がいなかったから?」

全くといっていいほど理由になっていないが…
桐嶋くんはどう思うんだろう。

なぜかとてつもなく気になって様子を窺うようにちらりと表情を見てみる。

「僕に彼女がいないと…何なんですか?」

桐嶋くんはさっきよりも強く視線を向けていた。

いつもより少し低い声に体が飛び跳ねる。

「彼女がいなくて…」

彼女がいないと…何なんだ?

私があのとき、思ったことは…?

「安心……した?」

あ、

言った瞬間、自分の顔が真っ赤に染まったのが分かる。

「Aせんぱ…」

「ごめん!桐嶋くん!

私……先行く!」

桐嶋くんの反応を見ていられなくて
後ろから聞こえる声を聞こえなかったかのように走り去る。

こんなこと…

こんなこと、絶対にない。

私が……桐嶋くんを好き、だなんて。

走りながら、羞恥のためか勝手に滲んでいた涙を片手でぐっと拭う。

職員室の前まで差し掛かったそのとき、

「わっ、すいません」

体に軽く衝撃が走り、少し上から声が降ってくる。

上手く頭が回らないせいか数秒遅れてやっとぶつかったのだ、ということに気づく。

「こ、こちらこそ…すいませ…」

「Aちゃん?」

「えっ……?」

突然呼ばれた自分の名前に顔をぱっと上げる。

そこにいたのは…

「ひー、ちゃん?」

幼なじみの彼だった。




Hiyoriきっと、その子はAちゃんのこと…


_____________________

親友(1)更新されてますが、ちゃん呼びに変えただけです。

日和は女子慣れしてそうですよね…。

再会(1)→←瞳(2)



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まいまい☆ - トキヤloveさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。リクエスト、ありがとうございます!とても助かります。今書いているside:IKUYAシリーズが終わり次第、書かせて頂こうと思います! (2019年9月29日 18時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お疲れ様です。続き気になります。主人公が郁弥に、頬っぺたにキスしてほしいです。郁弥が、主人公に名前で呼んで欲しくて、壁ドンして、ほしいです。主人公も、お返しに、いつもドキドキさせられて、ばっかりだから、頬っぺたにキスしてほしいです。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - 凛大好きさん» こんばんは、お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。頑張りますね! (2019年9月25日 23時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
凛大好き(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お久しぶりです。更新ありがとうございます。続き気になります。頑張って下さい。 (2019年9月25日 23時) (レス) id: 666c266cdc (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - トキヤloveさん» 沢山のリクエスト、ありがとうございます!ポッキーゲームとクリスマスは前作でやらせて頂いたので、とりあえず郁弥sideのものを書かせて頂きますね!他のリクエストが来なかったり、話が余ったりしたら最初の二つも書かせて頂きます。 (2019年9月16日 20時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まいまい☆ | 作成日時:2019年7月30日 18時

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