小悪魔な君と自称天使な私【桐嶋郁弥】

瞳（2） ページ22

たわいもない話をしながら部室へ向かっているとき、
ふとキーホルダーの彼女さんのことが気になって聞いてみる。

「桐嶋くんの彼女ってどんな人？」

脈絡のない質問に驚いたのか桐嶋くんはきょとんとした顔をした。

大きな瞳がパチクリと瞬いて実年齢より幾分か幼く見える。

「…彼女なんていませんよ」

誰から聞いたんですか、と心底嫌そうに聞いてくる様子にこちらが驚いてしまう。

「聞いたとかじゃなくて…

その付けてるキーホルダー、彼女さんからのプレゼントじゃないの？」

「違います

貰ったの、男ですし」

そっか、あのキーホルダーの相手は男子だったのか。

”ひより“という名前から女子と勘違いしてしまっていた。

ひより…どこかで聞いたことがあるような気がする。

「ごめん、勝手に勘違いしてたみたい」

「良かった」

会釈ていどにぺこっと頭を下げながら謝ると
桐嶋くんは少し笑ったが、次の言葉を発した瞬間顔を強張らせた。

思ってもみなかった反応に何かしたのかと少し不安になり、桐嶋くんの顔色を窺おうとすると、ぱっと俯いてしまった。

「…………A先輩」

顔は下を向いたまま、深緑色の長めの前髪がふわっと揺れた。

少しくせっ毛なのであろうその髪を無意識に撫でたくなってしまったのか、
伸びかけていた手を急いで引っ込める。

「ん？」

なんでもないように微笑んで見るが俯いたままの桐嶋くんとは目線が合わない。






「何が……”良かった“んですか？」






顔を上げた彼の美しい瞳には強い熱が籠もっていた。


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昨日は更新できなくてすいませんでした。
LINE、オープンチャット機能付きましたね。
とても便利そうで使おうとしたら未成年は検索なし…
参加させてくれー…

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