親友(3) ページ9
「名前…教えてもらえませんか。」
こちらを見つめたまま、ゆっくりと桐嶋くんは言った。
そういえば昨日私は記入表で名前を知ったが、自己紹介はしなかったことに気づく。
「あぁ、水上Aだよ。
3年2組、保健委員。」
名前を知ったところで関わることも少ないだろうし、何になるのか知らないが答えないわけにはいかないだろう。
名前だけ言うのも憚られ、申し分程度に学校でのプロフィールも伝えておく。
「水上…A先輩…。」
桐嶋くんは俯いてぼそぼそと何回か私の名前を繰り返すと綺麗に微笑んだ。
「改めて、桐嶋…郁弥です。
…2年2組、今日から水泳部になりました。
A先輩と一緒の保健委員です。」
「保健委員?」
確か委員会は4月の時点で決められており、9月辺りにもう一度決め直すはずだ。
今はまだ5月で委員会が決定したすぐ後だ。
桐嶋くんが転校してきたのは昨日だったから保健委員になっているはずがない。
考えて込んでいると気づかれたのか桐嶋くんが口を開く。
「交代したんです、クラスのやつと。」
交代…。
あんまり楽しいところがない保健委員を積極的にやりたい子なんて私以外には初めてだから少し嬉しさが募る。
「そっか。
じゃあ、半年よろしくね。」
にかっと笑うと桐嶋くんも穏やかに笑う。
ふわっと微笑む桐嶋くんはとても可愛かった。
天使の輪や羽が頭の上に見えたような気がして、目をゴシゴシこすっていると、
「ねぇ、二人の空気つくらないでよー!
私は川島菜穂、テニス部だよ。
よろしくね!」
と菜穂が桐嶋くんに話しかけ始めた。
その途端、桐嶋くんは笑顔を崩し、真顔になった。
「…あ、はい。…」
先程とは態度か打って変わった桐嶋くんに驚いた。
菜穂も感じているのか少し不足そうに桐嶋くんを見ている。
そんな中、桐嶋くんはもう一度私に顔を向けた。
「A先輩は部活してないんですよね。」
「うん。」
元々運動は苦手ではなく、そこそこできるように思うが一つのスポーツを続けてしたいと思ったことはない。
うちは文化部が少ない学校だからか特に入りたい部もなく1年の頃からずっと帰宅部だった。
「じゃあ…
マネージャー、やってくれませんか?」
…マネー、ジャー?
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まいまい☆ - トキヤloveさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。リクエスト、ありがとうございます!とても助かります。今書いているside:IKUYAシリーズが終わり次第、書かせて頂こうと思います! (2019年9月29日 18時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お疲れ様です。続き気になります。主人公が郁弥に、頬っぺたにキスしてほしいです。郁弥が、主人公に名前で呼んで欲しくて、壁ドンして、ほしいです。主人公も、お返しに、いつもドキドキさせられて、ばっかりだから、頬っぺたにキスしてほしいです。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - 凛大好きさん» こんばんは、お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。頑張りますね! (2019年9月25日 23時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
凛大好き(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お久しぶりです。更新ありがとうございます。続き気になります。頑張って下さい。 (2019年9月25日 23時) (レス) id: 666c266cdc (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - トキヤloveさん» 沢山のリクエスト、ありがとうございます!ポッキーゲームとクリスマスは前作でやらせて頂いたので、とりあえず郁弥sideのものを書かせて頂きますね!他のリクエストが来なかったり、話が余ったりしたら最初の二つも書かせて頂きます。 (2019年9月16日 20時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まいまい☆ | 作成日時:2019年7月30日 18時