3 再会 side:IKUYA ページ42
日本に帰国者してまだ間もないというのに、ついこの間まで一緒にアメリカでいたはずの日和と再会した。
もちろん、日本に来るなんて話もこの学校に来るなんて話も聞いていなくて、
すごく驚きはしたものの、これからも日和と仲良くできると思って嬉しかったんだ。
でも、
「そう、郁弥だよ。
あれ、Aちゃん知り合い？」
その言葉を聞いた瞬間、上がりかけていた口角が固まった。
A、ちゃん…？
おそらく女子しか呼ばないであろう、名前呼び。
胸の奥深くからモヤモヤとした嫌な感情が出てくるような気がした。
なんとか関係性を聞くと、
返された“幼なじみ”という言葉。
そして、それを言った日和の目にはいつもの穏やかさはなく、
明らかに僕に向けた敵意があった。
さらに、
「ひ、ひーちゃん…」
追い打ちをかけるように先輩から発された“ひーちゃん”
これ以上、日和をA先輩に近づけてはいけない、
そう思ったそのとき、一足早く日和がA先輩に案内を頼んだ。
日和を睨みつけつつ、内心焦りながら交替を申し出るが、
A先輩に却下されてしまう。
あまりに出しゃばってもおかしいから
悔しくも引き下がり、頷いた。
「ごめん、よろしくね桐嶋くん」
今までは気にしていなかったのに、
名字で呼ばれたことがすごくもどかしく思えて唇を噛み締める。
きっと自分が今、しているであろう憎悪が入り混じった酷い顔を
A先輩に見せたくなくて、顔が見えないように俯いた。
僕の傍をふわっと髪をなびかせて、
A先輩が通り抜けていった。
そして、その後ろを追いかけるようにして歩いて行く日和が僕の横を通ったとき、
先輩に聞こえないくらい小さな声で僕に呟いた。
「……郁弥には渡さないよ」
その言葉に日和は
A先輩が好きだ、という確信を持つ。
俯いたまま、
両手をぎゅっと力一杯握りしめた。
幼なじみで、親友でもある日和。
きっとA先輩からの信頼も厚いはずだ。
ただの後輩である僕のどこに
日和に勝てる要素があるんだろう。
さらに強く手を握りしめると、
爪が掌に食い込み、薄く血が滲んだ。
でも…
例え日和が勝つ確率が99%だとしても…
僕は最後の1%まで諦めない。
背を向けて歩いて行く日和に聞こえないように、
さっきの日和よりも小さな声で宣言する。
「…もちろん、僕だって」
完全に日和が見えなくなってから、
ゆっくりと水泳部へと続く廊下を歩き出した。
4.言葉 side:IKUYA（1）→←2 My secret is ……
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まいまい☆ - トキヤloveさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。リクエスト、ありがとうございます！とても助かります。今書いているside:IKUYAシリーズが終わり次第、書かせて頂こうと思います！ (2019年9月29日 18時) (
レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お疲れ様です。続き気になります。主人公が郁弥に、頬っぺたにキスしてほしいです。郁弥が、主人公に名前で呼んで欲しくて、壁ドンして、ほしいです。主人公も、お返しに、いつもドキドキさせられて、ばっかりだから、頬っぺたにキスしてほしいです。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - 凛大好きさん» こんばんは、お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。頑張りますね！ (2019年9月25日 23時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
凛大好き(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お久しぶりです。更新ありがとうございます。続き気になります。頑張って下さい。 (2019年9月25日 23時) (レス) id: 666c266cdc (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - トキヤloveさん» 沢山のリクエスト、ありがとうございます！ポッキーゲームとクリスマスは前作でやらせて頂いたので、とりあえず郁弥sideのものを書かせて頂きますね！他のリクエストが来なかったり、話が余ったりしたら最初の二つも書かせて頂きます。 (2019年9月16日 20時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいまい☆ | 作成日時：2019年7月30日 18時
