妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ10)

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第６.９話　鬼神という言葉ページ10

「それと、この木箱に書かれた文字なんだ」

私の木箱とタイ兄の木箱を差し出した。

「二つの木箱に書かれた文字は、巻物より新しい字だ。
たぶん、Aとタイの祖先にあたる竜堂家の誰かが書いたものだろう」

私の木箱の方に、鷲の絵と共に書かれたもの。

「天高く舞ひあまたの心憂きことをゆるし
心鬼神の通じ魂天地におさめよ」

タイ君の木箱に獅子の絵とともに書かれたもの。

「地をたけく蹴り深奥なる知恵と高潔なる魂をもって
鬼神を役使し冥府のはてまて統へ治むへし」

それぞれについても、もっけが説明した。

「天高く舞い、全ての罪を許し、心は鬼神のも通じ、
魂を持って天地をおさめよ。これがAの箱の方」

話を聞いていて、私が始めに旅に出た時の事を思い出した。
あの時は私が読んでいたんだっけ。

それで、その時の私は……スネリともっけの事を怖いと思っていた。
でも、今はスネリの事は姉的な存在だと思っているし、もっけは……

………………?

そう考えているうちにも物事が進んでいくので、
とりあえず話を聞く事にした。

「地を強く蹴り、深い知恵と気高い魂で、
鬼神を使い、死の世界にいたるまでおさめよ」

聞いていれば、また頭に過る事がある。
この木箱はタイ兄の物……。

「おいら、どうしても『鬼神』という言葉が気になるんだ。
そいつが誰だか分からねえけど、そいつの力で助けてもらって、
初めて伝説の子の務めが終わる様な気がする」

鬼神。初めて木箱の文字を目にした時から、
私も気になっていた言葉だった。

私は妖界を封印した事で終わったと思っていたけれど、
巻物を読む事で新たに小さな不安が過った。

スネリともっけも、きっとそうだと思う。

得体の知れない、黒い影が忍び寄って来るような不気味さを感じていた。