妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ6)

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第６.５話　生き帰った妖怪ページ6

「A……、A」

「(誰……?)」

私はゆっくりと目を開けた。

霞みがかった景色が、徐々に輪郭をもち、寝ている私を
真上から心配そうに覗きこむ人を確認できた。

「A! 良かった」

まだぼんやりとした視界だったけど、少年である事が分かった。
私が目覚めたのを見て、浮かんだ涙を拳で拭った。

その姿は、私の事を知っていて、
しかも私の事を大事に思っているように見える。

しかし、私はその人を見たことがない。
私と同じ年くらいなのかも……。

がっちりとした体格で、大きな黒目がちの
聡明そうな目で、私を見下ろしている。

私もその人を見つめた。

「(この目、何だろう……なんとなく懐かしい気がする)」

「A、本当に良かった」

もう一度言った時、私は、ハッとした。
夢の中で、遅れて学校にやってきた男の子の声と同じ……。

「(けれど、そうじゃない。もっと前から
知っている筈。この声は……) 貴方は……。」

私はもっと良くその人の顔を見ようと、
頭を持ち上げた途端呻いた。

頭の中に大きな鐘が鳴り響いたよう。

「駄目だよ、まだ寝てなくちゃ。そうだ、スネリを呼んでくる」

「スネリ……? スネリが居るの? 本当……本当にスネリが!?」

その人は、部屋を出て行った後、すぐにスネリを連れて戻ってきた。
スネリは人間姿で、片手に水枕を持っていた。

そして私が目覚めたことを知ると、その手から
水枕が落ち、寝ている私に駆け寄り、抱きついた。

「A!」

「スネリ!」

私も、それに答えて抱き返した。