妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ41)

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第６.４０話　吹き返した命ページ41

「でも……」

私はずっとひっかかっていた事を言った。

「紅見草伝説では、天の雀は大好きな人と暮らしたい為に、
村に残ったんでしょう。この村が好きだった筈だよ。
伝説が本当の話かわからないけれど……」

「本当のこと」

朱雀は私の目を見ずに短く言う。

「なら尚更、精霊は村人の事をそんなに憎んでいなかったんじゃない?
きっと気付いてほしかっただけ。本当に苦しめたかったとは思えないよ」

ぷいと横を向いたまま、
朱雀は何も言わなかった。

「もえぎちゃんは、本当の紅見草の気持ちを知っていたんじゃないかな。
もえぎちゃんが言ってた。紅見草は寂しかったんだって。

憎しみだけを感じていたら、もえぎちゃんは紅見草を
助けてくれなんて言わなかったと思う」

すると、暫く黙っていた朱雀が
やっと口を開く。

「もえぎは私の言葉を聞こうとしてくれた、
たった一人の人間だ。もえぎも苦しんでいるのか?」

その時、初めて悲しそうな顔をした。

「もえぎちゃんの祖父と弟が入院しているの。もえぎちゃんも悲しんでいるよ」

「A、私はどうしたら良いのだ」

すがるような目をして、私を見上げた朱雀。

「ちょっと待って」

私はスネリともっけに頷くと、紅見草の茂る中央に立ち
ペンダントを祈るように握りしめた後、九通りの印を結ぶ。

スネリともっけも目を閉じ、紅見草に向かって念を飛ばした。

私の胸元のペンダントが白く輝きだす。
唇からは、呪文がぶつぶつと流れ出てきた。

それから紅見草の群生する周りを、それを踏まないように
注意しながら、独特のステップを踏んだ。

すると、枯れていた紅見草が
中央から少しずつ色を取り戻してきた。

私の額から、汗がぽとりと落ちる。

ひとつ、ふたつ、
紅見草は葉の色を取り戻していく。

その色は、まだ鮮やかな緑色とは言えなかったけれど、
それでも確かに、生きている葉の色には違いない。

紅見草が一つ残らず生き返ると、
私は掲げていたペンダントを下して、そこへ座りこんだ。