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第6.38話 私と、紅見草の ページ39

お互いの声が通じ合ったのだ。


「もえ、ぎ、ちゃん、は、たおれ、そうに、なりな、がら、
貴方を、たす、けて、ほしい、って、伝えに、来た、の」


肺に溜まった毒のせいで私はぜいぜい言いながら、
やっと言葉を紡いでいる。


『もえぎ……私の……』


今度こそ、私の耳にもしっかりと聞こえた声。


『もえぎは、私の声がわかった、ただ一人の人間。
もえぎは紅見草の悲しみがわかる、たった一人の子』


自分の頭の中を整理するように呟いた。


『紅見草の気持ち……私の気持ち……
紅見草の精霊の気持ち……私の……私の』


その声は、赤い実の中で徐々に大きくなっていく。


「紅見草さん」

『ちがう』


紅見草が声をはりあげた。

私がかすむ目で見ると、
赤い実の奥に、何者かが動く気配が。


『私は紅見草ではない。私は……』


紅見草の声の感じが変わって、そして……。


『朱雀』


りんとした声が、響き渡る。


「朱雀……」


私はその名前が、
馴染みのあるものである事を知っていた。

懐かしい人にあったように感じていた覚えがある。

第6.39話 忘れ去られて→←第6.37話 通ずる言葉  祝200個目!


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作者名:フェイル | 作成日時:2011年2月20日 22時

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